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中国で話題の医者・華益慰先生
   2006-08-10 09:58:50    cri

 今、中国で多くの人たちから尊敬を集めている一人の医師がいます。北京軍区総病院の前外科主任、華益慰さんです。

 華さんは56年間に渡って、患者の治療に当たってきました。しかし、彼は自分が病にかかって倒れました。病名はガン。治療に専念するため、入院した華医師でしたが、入院中も手術を予約している患者のことが気がかりで、仕方ありません。病床にありながら、ずっと患者の状態を心配しています。

 華さんは1933年に、中国北部の港町、天津で生まれました。両親とも地元でも有名な医師で、華さんもその影響で、当然のように医師の道を志したのです。

 「生涯医者をしてきました。ひたすら、良い医者になることを目指していたのです。患者の病気を治して、患者から信頼される、そんな医者になることが、私にとってもっとも幸せなことでした。」

 華さん自身が言うように、56年間、ひたむきに医療と向き合ってきた華さんは、その多くの患者から信頼されました。そして、数千人の患者の手術をしてきました。全ては患者の身になって治療をするというのがモットーです。

 例えば、腸をつなぐ手術の場合、専門の器械があり、これを使えば比較的短時間で手術を終えられます。しかし、それにより、患者は1万元ー2万元(15万円ー30万円)多く治療費を支払わねばならなくなります。多くの貧困に苦しむ患者にとって相当大きな負担となります。そこで、華さんは、あえて機械を使わず、全て自らの手で、4、5時間かけて、丁寧に縫い合わせるやり方をとります。患者のために費用を節約するのです。こういった工夫は、高齢になってからも変わらず、行ってきました。

 同じ病院に勤める外科医の張冬さんはこのように話します。

ノルマン・べチューン賞の受賞式、奥さんの張燕容さん

 「先生の手術は、基本が本当にしっかりとしているんです。そしてすごく器用でらっしゃるから、先生が縫い合わせたものは、器械に少しも劣りません」

 医師としての数十年間に、華さんは一度もミスをしたことがありません。華さんは、手術をする前に、いつもまず患者の病状を詳しく調べ、手術中に想定される、全ての要素をあらかじめ用意しておくといいます。十分に準備しないままに手術を行わないということが数十年、ミスをしない秘訣だと語る華さん。当たり前のことを当たり前にすることが何よりも大切だといいます。

 華さんはまた医療技術の研究にも非常に熱心です。研究成果の一つに、早期乳癌の患者の手術があります。これは切り口を出来るだけ小さくして、乳房をできるだけ残しておく手術方法で、中国で広く行われています。

 良いお医者さんになるには、腕はもちろんですが、患者を大切にする心を持つべきだというのは、誰もが言うことです。しかし、実際にこれを実践することはそう容易ではありません。華さんは、患者に対して、細かいところまで関心を払っています。   例えば、冬場、華さんは聴診器を手で暖めてから使います。患者さんがお腹に当てられた聴診器で冷たい思いをしないようにです。また手術を終えた患者の目が覚める頃、華さんは必ず病室に向かいます。患者さんは、目覚めたとき、信頼するお医者さんが目の前にいることで安心するというわけです。患者のそばに来て、患者の病状を聞く・・。一見、こうしたことは大したことでないような気がします。でも患者にとっては本当に心強いことであり、華さんはこれを数十年続けてきました。

 去年7月25日に、華さんは生涯最後と自らが決めた手術を行いました。当時のことを、手術を受けた患者の楊華さんはいまも覚えています。

 「華先生は手術前、扉のところに立って、にっこりと笑って、うなずいてくれました。いかにも信頼できそうな雰囲気でした。やさしくて、すぐに安心感を与えてくれる先生です」

 しかし、患者さんは知らなかったことがあります。実はその日、華先生は胃癌の疑いで、胃カメラ検査をする予定だったのです。それにもかかわらず、華さんはまず手術を行うことを優先させました。そして患者さんの容態が安定したのを確認して、やっと自らの検査に赴いたのです。その結果、翌日、すぐに入院。さらに8日後には胃を全部摘出する手術を受けました。

 人々の記憶の中では、華さんはいつも笑顔ですが、いま、見舞いに来る人々を前に、二度と手術をすることができなくなった自分を嘆いて、ときおり、悲しい顔を見せるといいます。華さんは、手術を予約していた患者さんに、すまないと伝えてくれと、仲間にいいました。

 華さんがガンを患ったことを知って、かつて華さんのおかげで命を助けられた患者も、次つぎに見舞いにやって来ました。

 療養中の華さんは、少し気分がいいときは、起き上がって、ノートをつけています。自らの病状を記して、似たような病気の治療の参考にするためです。また、他の医師たちに、自分の担当の患者さんの様子を毎日のように尋ねました。

 そして、もうひとつ、決めたことがあります。華さんは、自らの死後、遺体を医学研究のため、解剖してもらうことを決めたのです。

 ある日、華さんは丁華野教授を呼び、自らの胃のレントゲンを手にして言ったそうです。丁さんの話です。

 「華先生は私にこう言いました。症状は胃がんの一例だが、同時にこんなに多くの病気を併発している。これは私が生涯見たことのない症例だ。私の遺体を解剖して、今後の治療に役立たせてくれと・・」

 この華さんの思いは、メディアを通じて、中国全土の人たちの知るところとなりました。華先生は56年掛けて、少しでもいい医者になろうと努力を続けてきました。そして、自ら病の床にあっても、あくなき医学の向上への執念は全く消えることがないのです。

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