中国の農村部では経済の発展につれて、農家の収入も次第に増えています。物的生活が向上するに従い、精神面でも豊かになってきました。中部の江西省の普通の村、幸福村を訪ねてみましょう。
幸福村は、幸せの意味の幸福という名前で、萍郷市の郊外にあります。日本の県道にあたる省クラスの道路がこの村を通ります。遠くから見れば、農家の家屋は山の麓にずらりと並び、周りには茂った木々が囲んでいます。
村に入るとたん、太古の音が聞こえてきます。これはどこかプロの楽団ではなく、村人からなる幸福村楽団が日常の訓練をしています。
その一人、58歳の劉文芝さんの話では、村の女性たちは太鼓のほか、中国独特のヤンゴ踊りも好んでやっているそうです。
「普段は、午前中みんなはそれぞれ家事をしますけど、午後になりますと、みんな一緒に集まって、踊りをしたり、歌を歌ったり、トレーニングセンターへ通ったりして、様々な娯楽をします。この太鼓も、服装も個人がお金を出して買ったのです。なぜなら、幸福村の生活をバラエティーに富むものにしたいからです。」
トレーニングのほかに、人々は図書館へ行って、読書し、将棋を楽しみ、映画を鑑賞するなどします。
1970年代の末ごろから、幸福村の人々は、花や苗木を栽培し、汚染のない果物を植えて、その製品を全国10数の省に出荷しています。
次第に豊かになった農家の人々は、環境保護など公益事業に目を向けるようになりました。村民の劉恵蘭さんは次のように話しています。
「周りの環境がきれいになりました。ごみはすべて埋め立てにしています。村人は石炭を使うのでね、それぞれ穴を掘って、石炭灰をその中に入れるんです。こうすれば、環境を汚くすることはないですからね。そして、埋められた石炭灰とその他のごみはまた肥料になって、野菜やみかんの栽培に使います」
衛生で環境にやさしいトイレは農村部では余り見られませんが、ここ幸福村では殆どの家にはこうしたトイレが建てられています。
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