夕日が天安門付近の長安街にその日最後の光を落としました。
夜の帳が下りる時は、華やかなステージの幕開けの時でもあります。つややかな光を放つ透き通ったキューブが少しずつ浮かび上がってきました。
|
|
|
昼間、周りになかなか溶けこめないように見える大劇院も、夜になると、不思議な魔力を放つ魔宮に変身します。
杮落としから一年経って、やっとこの幻想的な、おとぎ話の空間に足を踏み入れて公演を鑑賞しました。
大劇院は奇抜なデザインと未来都市を思わせるハイテク素材でできるため、これまで私はここを長安街の「目立ち屋」とばかり思っていましたが、近づいて中にまで入ってみると、初めてその控え目な姿に気がつきました。
|
|
地下1階、地上3階。地上からの高さは46.285メートルで、地下の深さは32.5メートル。建物の6割が地下にあり、地下の部分だけでも10階建ての建物に相当するといわれています。
オペラホール、音楽ホール、芝居ホールの三つ部分からなっており、それぞれが一つの独立した劇場でもあります。私が行った日は三つの劇場とも公演が行われていました。1月のプログラム表を見ると、ほぼ毎日のように何か公演が行われています。
劇院の中は花と光の世界。床いっぱいに並べられた植木鉢に色とりどりの花が咲き、心を酔わす良い香りを運んでいました。光の演出には様々な蛍光灯が効果的に使われていました。
| |
|
中国最高の劇場はハード面だけではなく、スタッフたちのプロフェッショナルな接客ぶりにも現れています。
「劇場にカメラは持ち込めません。カメラは無料の一時預かり所でお預かりします。」
観客の心配を見抜いたように、スタッフからすぐに、「ステージ終了後、改めて30分の自由撮影の時間を設けております。写真撮影はどうぞ公演終了後にお願いいたします」と追加説明がありました。
|
|
|
とてつもなく広い迷宮のような劇院の中、要所要所にしっかりとスタッフが立っていて、きちんと道順を教えてくれました。どのスタッフも丁寧で、上品な対応なので、観客も協力せざるを得ません。
ところで、私が鑑賞した演目は舞踊劇・「紅楼夢」。「紅楼夢」は中国で誰一人知らない人がいないほどの古典名著で、日本で言いますと、「源氏物語」のような位置づけです。これまで、地方劇になったり、ドラマ化や映画化されてきましたが、舞踊劇とは初耳です。
なんと、120話ある小説の全内容をきっちりと踊りの形で再現され、驚きました。総勢60人ほどが登場するステージでした。主役もすばらしい踊りでしたが、個人的に一番好きだったのは、田舎者の劉おばあちゃん(劉姥姥)と孫のユーモアたっぷりのコミカルな踊りでした。
なお、国家大劇院は昼間の見学コースもありますので、皆さんもぜひ一度は訪れてみてください。(王小燕)
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |