今回は現在、「真的ma?北京」で公開中の中国茶の特集について紹介しましょう。
ご飯の時に当然、そばにあるものくらいしか感じてないほど、全くお茶の世界とは無縁だった私がいきなり一週間で、その歴史や文化、摘み取り、製茶など一気に習得する番組です。余すところなく編集したつもりですので、関心がある人もない人も楽しめるよう作りました。
さて、番外編。まず大学での中国茶の講習ですが、大学側も力が思いっきり入っていて、杭州に到着後、息をつく間のないくらい、様々な講義が続きます。問題はすべて中国語ですから、さっぱりわからない。で、夜中に、インターネットで内容を調べる作業が待ってます。関心がなかっただけに一からの勉強。新聞記者やテレビ番組づくりの時にやっておけばよかったとため息ばかり。ところが2日目、ウーロン茶の植樹の際、いきなり救世主が現れます。日本語で話しかける先生がいるのです。それも、私が大学を訪れた日に、着任したばかり。
中国茶文化の研究では有名な関剣平副教授です。特に日本との関係には造詣が深く、詳しい。インタビューでは私の疑問をぶつけてみますが、これが面白い。「そうだったのか」の連続。久しぶりに現場でしか感じない心躍る瞬間が蘇ります。中国とか日本とかの話も興味深いのですが、何か人間とお茶の関係の深さの方が気になってしまい、キーワードを探します。それが後半の「径山」に繋がっていきます。日本茶、日本の茶道の原点となった場所です。私の取材魂に火をつける、その道標となってくれたわけです。関副教授は実家が上海で奥さんが日本人。私は上海の女性の旦那さんで日本人。お互いに出会うべくして出会ったというか、次回は上海で、家族同士で会いましょうと意気投合です。
番組後半にはその「径山」が登場します。もちろん、日本人は私ただ一人。しかし、日本にお茶や茶道が伝えた場所だけに、言葉が通じなくても「ちゃん知って欲しい」との気持ちが、「径山茶」づくりに携わるみんなや「径山寺」から痛いほど伝わってきます。私も疲れを忘れ、すべてを体験し、伝えよう、という気持ちで、頭で理解するのではなく、体が自然と動くわけです。別れの朝、午前4時。これまで天候に恵まれたのがウソのように、外は強い雨と風。ホームステイしていた茶工場の玄関に降りると、李水富社長の姿が。顔を合わせ、言葉なく、2人で飲んだ径山茶は一生忘れないでしょう。取材ネタは何であれ、知らないことを知らないと自分に正直に言い聞かせ、相手から学び、知る。そして、伝える。マスコミ人の一番大切な「無知の知」を、ここでも教えてもらった満足感で一杯になりました。歳を重ねると「知っているふり」をしがちになりますが、自分への戒めを含め、関係者の皆様に感謝致します。
この模様は動画情報番組「真的ma?北京」
でご覧になります。お時間がございましたらどうぞ、日本茶の歴史の旅をお楽しみ下さい。(山下)
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