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日本人スタッフのつぶやき195~防空壕

2012-10-18 19:20:37     cri    

 先日、取材である大学へ行った時、地下室の入り口にこんな看板がかかっていました。「防空地下室」。

 大学の教室の下に防空壕?と、ちょっと驚きました。

 実は、北京のある程度の規模のビルには必ず防空壕があります。法律で義務づけられているということで、わが家の団地ビルにも当然、地下室があります。そして、ここだけはいわば公共施設だからということなのか、管轄が違うのでこうした看板がかけられているようです。

 最近のビルでは地下は駐車場になっていることが多いんですが、私の団地のようなところは住宅になっていて、よく地方から出てきた若者たちが共同生活をしています。彼らは「蟻族」と呼ばれ、中国の格差社会の象徴のように言われることもありますが、いつの日か地上のマンションへ移ることを夢見て毎日頑張っているという意味では、ここは様々な青春ドラマの舞台でもあります。

 こうした防空壕が盛んに掘られるようになったのは、1960年代、当時のソ連と関係が悪化していつ戦争になってもおかしくないという時だったようです。ソ連に近い中国東北地方は山東省などから移住した人が多いので、その頃は東北の子供たちが山東省などにたくさん疎開したという話も聞きました。

 1972年に初めて北京に来たとき、大柵欄という商店街の地下に掘られた防空壕を見学しました。普通の洋服屋の奥に入ってボタンを押すと、突然、箪笥がゴーッと動いて防空壕への入り口階段が出てきます。中は迷路のようになっていました。その頃は、天壇の中庭に大きな丘が出来ていて、それは防空壕を掘って出てきた土を盛ったものだということでした。

最近は、その頃掘られた都心の防空壕は、観光施設になっているという話を聞いたことがありますが、北京ではこんな風に日常生活の何気ないところに、ふと戦争の影のようなものが見えて、ちょっと身構えさせられることが時々あります。(大野清司)

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