中国最大手のポータルサイト「百度」の検索アクセス数で集計したランキングは、中国芸能界の全体の動きが分かる結果を示しています。

　この1週間の中国で注目度の高い映画・トップ３は以下のとおり：

　3位、アメリカのSF大作『クラウド アトラス（原題: Cloud Atlas）』。これは2004年に発表されたデイヴィッド・ミッチェルの小説『クラウド・アトラス』を原作とし、19世紀から文明崩壊後までの異なる時代に舞台を置いて、6つの物語をグランドホテル形式で描いた作品です。6つの物語とは、1849年の公証人の青年。1931年の作曲家の卵。1973年の女性ジャーナリスト。2012年の老編集長。2144年のクローン人間。2321年の羊飼いで、そうした人物の数奇な運命のもとで各エピソードが展開していきます。キャストは一人で複数の人物を演じ、それぞれのエピソードによっては主役が脇役を演じ脇役が主役を演じるという、複雑な手法が取られているそうです。主演にはトム・ハンクス、ハル・ベリーなどハリウッドの錚々たる名前が上がっていますが、中国の人気女優・周迅（ジョウ・シュン）も脇役で出演しています。この作品でハリウッドデビューも果たした周迅（ジョウ・シュン）ですが、実は、今年4月に授賞式が行われる"香港アカデミー"＝第32回香港電影金像奨の主演女優賞部門にノミネートされていますが、なんと出演した（『聴風者』と『大魔術師』）２作品でダブルノミネートという快挙を達成しています。これで演技派トップ女優の座を不動のものにしました。アメリカ映画での演技も要チェックです。日本での公開は3月15日です。

　2位、日本の人気ドラマのリメイク映画『101回目のプロポーズ』。今年のバレンタイン映画は1991年に日本で放送されたドラマ『101回目のプロポーズ』の中国リメイク版映画です。主演に抜擢されたのは、台湾を代表する美人女優・林志玲（リン・チーリン）と大陸出身の個性派俳優・黄渤（ホアン・ボー）。ちょうど旧正月（春節）休みにも当たる、バレンタイン映画として異例のヒットとなっています。監督は1981年台湾生まれの新鋭監督、陳正道（レスト・チェン）。2004年、彼のショートムービー『狂放』がベネチア国際映画祭と東京国際映画祭「アジアの風」部門に出品されたほか、2006年、代表作の『花蓮の夏』が東京国際映画祭「新作パノラマ」部門で上映されました。また、蔡依林（ジョリン・ツァイ）、孫燕姿（ステファニー・スン）、五月天（メイデイ）など人気歌手のＰＶでメガホンを取っています。

　1位、待望の周星馳（チャウ・シンチー）映画『西遊・降魔篇』。2008年の「ミラクル7号（原題：長江7号）」から約5年ぶりとなる周星馳（チャウ・シンチー）監督作品が中国で今月10日に封切られ、初日の興行成績は7600万元（約11億5000万円）を記録してランキングのトップに立ちました。昨年のファンタジー映画『画皮（あやかしの恋）2」が叩き出した7000万元（約11億円）を大きく塗り替え、歴代の中国語映画の初日記録を更新しました。キャスティングは、若手俳優の文章（ウェン・チャン）、人気女優の舒淇（スー・チー）、そして、主演作品が次々に上映中の黄渤（ホアン・ボー）など話題性満点の顔ぶれとなっています。昨年末に公開された『人再囧途之泰囧（ロスト・イン・タイ）』を超えるヒットとなるか、注目が集まっているところです。

　1位と2位の作品のキャスティングにはいずれも黄渤（ホアン・ボー）の名前があがっています。彼は、今中国映画界で最も注目されている"遅咲き俳優"で、次々に作品に出演しています。中国でいま一番観客が動員できる俳優と言っても過言ではありません。『101回目のプロポーズ』と同時期に公開される『西遊・降魔篇』では、どんな演技を見せてくれるのでしょうか、ぜひ注目したいです。（ミン・イヒョウ）