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中華武侠音楽の世界(前篇)

2014-10-24 17:43:13     cri    

ナビゲーター黄競


 中国では武俠というと、武芸の達人の闘いや恋愛などを思い浮かべます。ほとんどの中国人の胸にはロマンあふれる武俠の夢があることでしょう。今回と次回の中国メロディーは、美しい音楽とともに、多彩な武侠の世界を旅しましょう。

中国人の心の中にある武侠の夢

 武侠文化は中国の独特な伝統文化で、ほとんどの中国人は幼いころ、侠客になる夢を抱くのではないでしょうか。自分自身が無敵の武芸を身に付けて、世界を救う英雄になることに憧れるのです。唐の詩人・李白の詩「俠客行」は中国人の心の中の俠客の豪放洒脱な生き方をこのように描きました。「十歩殺一人千里不留行/事了払衣去 蔵深身與名 (十歩にして一人を殺し、千里といえども迷わず進む。事おわらば衣を払い、身と名を深く隠す)」。

 今、この1000年にわたる伝統文化は新たな魅力を放っています。多くの武侠を題材とする映画やテレビドラマ、アニメは観客たちに多彩な武侠の新しい世界の扉を開きました。また、映画「笑傲江湖」のテーマソング「滄海一声笑(人生を笑い飛ばす)」など素晴らしい武侠音楽も不思議な武侠世界に彩りを添えました。豪壮な武侠音楽は、観客たちの心の中の英雄的な気概を沸き立てます。

武侠の世界、大人の童話

 武侠世界は多くの中国人が憧れる世界で、この世界には金融危機や環境汚染などの現実的な問題が存在しない一方で、現実世界の美しいもの、例えば風景や文化、愛情、料理などは残されています。まさに人類社会本来の素朴な姿に戻るようです。だからこそ、武侠の世界は大人の童話とも言われます。

 そんな童話の中には義侠心の英雄的気概や男女の恋愛もあります。この大人の童話世界では、人生のいろいろなロマンを味わうことができます。例えば、1987年に上映された香港の武侠映画「倩女幽魂(チャイニーズ・ゴースト・ストーリー)」は人間と幽霊との間で繰り広げられる悲恋の物語を描きました。香港の名歌手レスリー・チャンが歌った主題歌「倩女幽魂(チャイニーズ・ゴースト・ストーリー)」は数多くの映画ファンの心を打ち、武侠音楽の名曲となりました。

大衆に親しまれる武侠音楽

 1980‐90年代、香港の人気小説家金庸、古龍の多くの武侠小説は映画化・ドラマ化され、大変な人気を博しました。そして、中華圏で武侠ブームを巻き起こしました。また、これらの武侠映画やドラマのヒットに伴い、その主題歌も大衆に親しまれてきました。

 そのうち、94年に上映されたドラマ「倚天屠龍記」の主題歌「刀剑如梦(刀剣は夢の如く)」はこの時期の武侠音楽における代表作となりました。唄は多くの若者の義侠心と英雄の夢を歌いあげました。今、この武侠ドラマは人々から忘れられてしまいましたが、主題歌は今でも多くの人々の心の中にあります。30代後半‐40代前半の人はこの歌を聞くと、少年時代の武侠の夢を懐かしく思うでしょうか。

武侠音楽の開花

 ここ数十年、武侠文化の繁栄に伴い、武侠音楽も大きく開花しています。たとえ武芸の達人でなくても、音楽の世界では武侠文化の不思議な魅力を味わうことができます。現実世界で、人は様々な困難や苦悩に直面しなければなりせんが、武侠の音楽世界では世の悩みを捨て去り、誰もが英雄になる夢を叶えることができるでしょう。

番組の中でお送りした曲

1曲目~ 滄海一声笑(人生を笑い飛ばす)

 この唄は香港の武侠映画「笑傲江湖」のテーマソングで、1993年に上映され、以来、中華圏でも人気の高い曲となりました。武侠映画音楽の中では名曲中の名曲と言えます。

 当初、有名作曲家・黄霑はこの主題歌を作る際、監督と繰り返し議論し、メロディーを六回も書き直し、時間をかけてこの武侠音楽の名曲を磨きあげました。

 歌詞

 神は、人々がこの世の中でごたごたとしている様子を笑っている。

 誰が敗者で、誰が勝者なのか〜最後の審判は天に委ねよう

 大地は、人々が争っている様子を笑っている

 俗世の塵芥など、波が悉くさらって行ってしまうと

2曲目~ 倩女幽魂(チャイニーズ・ゴースト・ストーリー)

 香港の武侠映画「倩女幽魂(チャイニーズ・ゴースト・ストーリー)」のテーマソングで、香港の名歌手レスリー・チャンが歌ったものです。

 歌詞

 人生の道よ

 甘い夢は遠くはかない

 行く手を遮る様々な困難

 世間に色々な夢があっても

 夢の中の純愛を一途に求める

3曲目~ 刀剑如梦(刀剣は梦の如く)

 台湾の人気歌手・周華健(エミール・チョウ)の「刀剑如梦(刀剣は梦の如く)」です。

 歌詞

 俺の剣はどっちを選ぶ? 愛と恨み、決めがたい

 俺の刀は空を切り裂き 是非もあやふや

 酔って朦朧、恩怨は幻 何も無し

 醒めると春の夢 生と死すべて消え失せた 

 来るのも去るのも、あっという間 恨む間もなく

 愛おしむのも恨むのも、あっという間 みんな風まかせ

4曲目~ 愛江山更愛美人(天下より美人)

 ドラマ「倚天屠龍記」のエンディング「愛江山更愛美人(天下より美人)」で、台湾の女性歌手・李麗芬が歌ったものです。

 歌詞

 天下を取ることよりも美人を愛する

 どんな英雄が孤独を望むだろうか

 いっぱしの男 度胸があり

 その壮大な志は世界的に知られる

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