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一葉一菩提
仏教音楽は紀元前5世紀ごろ、インドの釈迦族の王子である釈迦牟尼(しゃかむに)がつくったとされる仏教に関する宗教音楽です。その後1世紀になり、インドの仏教音楽が中国に伝えられてきました。中国の仏教音楽は3世紀の三国時代に生まれ、その創始者は魏王曹操の息子・曹植だと言われています。
伝説によりますと、曹植が山東省阿県の魚山を見物した際、静かな谷に渓流の水の音が響いていました。彼は渓流の清らかで抑揚ある音から悟りを得て、「魚山梵唄」という仏教曲を作りました。この曲が初の中国仏教音楽とされています。その後、仏教音楽は中国の民間音楽や伝統音楽などとうまく融合し、中国伝統文化の重要な一部となりました。
仏教界の伝奇・弘一法師
中国の近代、弘一法師(こういちほうし)、俗名、李叔同(しゅくどう)は、多彩な人でした。名門の出身で、詩、書、画、音楽、篆刻(てんこく)に優れ、日本に留学して西洋画を学びました。
帰国後は美術教員として教鞭をとり、影響力ある芸術家、教育家、思想家と知られています。彼は日本に行く前、茶の豪商の娘と結婚し子供もいますが、日本留学中に日本人女性と結婚し、彼女を伴って帰国しました。
やがて中国社会の保守性、教学上のさまざまな矛盾に悩み、仏教に傾倒していきます。40代の時、二人の妻と子供を捨てて出家し、海外でも知られる名僧・弘一法師になりました。仏教音楽の面で素晴らしい才能を発揮しました。彼がつくった仏教音楽は、まるで清らかな渓流のようです。
フェイウォンが歌う仏教音楽
多くの歌手が仏教音楽に惹かれましたが、人気歌手・フェイウォンもまた、その一人です。フェイウォンは1992年、偶然、ある仏教寺院に入りました。静寂の中に線香の香りが漂い、僧侶たちが法事を行っています。その抑揚ある仏教音楽は心を癒す魅力に満ちていました。音楽に非常に敏感なフェイウォンは美しい仏教音楽にすっかり心を打たれてしまいます。その後、仏教への信仰心は精神的な支えとなり、仏教音楽は心癒す、良薬となりました。彼女は仏教音楽のアルバムもリリースしています。
仏教音楽界の聖女
黄恵音はマレーシア出身の仏教音楽家で、この20年、仏教音楽の作曲と歌に取り組み、仏教音楽界の聖女と言われます。彼女の音楽には静かで美しい雰囲気が溢れています。聞く人に仏の慈悲と祝福を感じさせます。
彼女は「仏教は私の信仰で、音楽は私の趣味で、仏教の教義と音楽をミックスさせることは、私の生活の中に多くのインスピレーションと喜びをもたらした」と話しています。
番組にお送りした曲
1曲目 一叶一菩提
この曲は七弦琴の若手演奏家・巫娜さんが奏でた仏教音楽です。仏教に「一花一世界,一叶一菩提(1輪の花に世界があり、1枚の葉に仏が宿る)」という禅の教えがあります。古筝(こそう)、ショウなどの伝統楽器と七弦琴の音色が仏教音楽の奥深さと魅力をうまく表現しています。
2曲目 三宝歌(三宝の唄)
この曲は弘一法師の名曲です。仏教音楽の代表的な作品で、仏の偉大な法力を称えました。
3曲目 心経「般若心経(はんにゃしんぎょう)」
フェイウォンと張智霖がデュエットしたこの曲は大乗仏教の経典の1つで、大乗仏教の神髄が説かれているとされています。
4曲目 三皈依
この曲は黄恵音がお経を元に作曲し、唄ったものです。彼女の美しい歌声を聞くと現代人の疲れた精神が癒されますね。
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