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ウイグル族の書道家・ニヤズ・クローム

2012-03-02 14:22:29     cri    

 中国には長い歴史を持つ漢字を使った書道がありますが、新疆ウイグル自治区にはウイグル族文字を使う書道家がいます。この書道家は漢字の書法を用いて、新たにウイグル文字の書法を創り出しました。この書道家をニヤズ・クロームさんと言い、彼は幼いときから書道とつながりがありました。1950年、クロームさんが小学校1年生のときのことです。ある日の授業で先生が、「ふつう、わたしたちは話をすることで気持ちを表しますが、今日からは文字によっても気持ちを表すことが出来ると思います。字がうまく書けるように努力しましょう」と話したことを頭に深く刻まれているそうです。

 文字が気持ちを表すことが出来るという言葉は、クロームさんのこれまでの生活を物語っているかのようです。あの日から50年が経ちましたが、書道について話しても話しきれないほと、楽しいことが沢山あったそうです。

 ウイグル書道は硬筆に属します。筆といってもきちんと削った薄い木片を使い、インクをつけて右側から左側に書いていきます。字の大小と線も同じ細さに揃っています。50年間で、クロームさんは字の練習に何本筆を使ったのか、彼自身も知らないと言います。一所懸命努力した結果、若いときから上手にかけるようになりました。

 1970年代、クロームさんの書いたウイグル文字書道の本が出版されました。その整った書体は新疆言語文字活動委員会と出版社に注目されました。また、新疆人民出版社は彼の作品を「ウイグル書道実例」に編集して出版しました。この本は新疆で出版された唯一のウイグル文字の書道の本です。クロームさんは、

 「これまで、多くの習字の本や書法の教科書を編集したことがありますが、1976年出版された「ウイグル書道実例」は自分の処女作で、精力をそそいだ作品でもあります」とクロームさんは語ります。

 1980年代、クロームさんが新疆大学中国語学部の学生だったとき、自分で書いたウイグルの古い文字の作品を持って、「新疆日報」に投稿しました。「新疆日報」は新疆ウイグル自治区の重要な新聞の1つですが、それまでウイグル文字の書道作品を掲載したことがありませんでした。クロームさんの作品を見た編集者はとても驚き。その作品は例外として編集長にわたされました。1週間後、「新疆日報」はクロームさんのウイグル語書道作品3つを掲載しました。

 クロームさんの話では、1983年新疆日報で掲載された彼の作品はウイグル書法の記念すべき出来事となり、掲載後一週間で、クロームさんは書道愛好者から手紙を72通も受け取ったということです。

 それからしばらくして、クロームさんのウイグル文字の書道作品7つがウルムチ人民公園で行われた書道展に出展されました。その書道展は新疆で行われた初のウイグル文字書道展でした。当時、多くのウイグル族と漢族の来場者はこの作品に魅了されました。それから、クロームさんの名前が多くの人々に知られるようになり、少数民族の多くの若者が彼を通じて書道を学ぶことになりました。

 クロームさんはウイグル文字の書道の本を作り、若者の間に普及させようと思っていました。しかし、ウイグル語はアラブ文字を使っているので、右から左へ書くのです。新疆ないし中国でも、こうした文字の書法はありませんでした。クロームさんは1980年代、ウイグル文字の書道を研究し始め、ウイグル語の32の字母と124の音節をあわせて24の筆画にまとめた論文を書きました。

 このほか、漢字の書道で使う筆で、ウイグル文字を書くことを試みました。こうして、硬筆のほか、筆で書くウイグル書法を作りました。これは新疆文字活動委員会専門家の高い評価を受けました。また雑誌「新疆芸術」はウイグル語書法シンポジウムを主催しました。

 このシンポジウムで、クロームさんの試みは多くの人に認められましたが、一部の人は、漢字の書法でウイグル語を書くことに賛成しませんでした。しかし、クロームさんは漢字の文化には学ぶべきものがたくさんあり、どの民族の文化にも優れたものがある。進歩しようとすれば、それを勉強するべきだと言いました。

 現在、クロームさんの作品は新疆地区の多くの書店と小中学校の授業で見ることができます。ウルムチのある書店で、ウイグル書道の本を手にしているウイグル族の女性グリさんは記者に対し、「わたしはクロームさんの書道の本を数冊持っています。クロームさんの書くウイグル語の文字はとても立派です。彼の字が私の家族も大好きだ。子供の教科書も彼の書いたものです。クロームさんはウイグル文字の発展に大きく寄与したと思います」と語っていました。

 クロームさんは50年間、ウイグル書道の芸術に対する追求を日々続けてきましたが、まもなく定年退職の日を迎えます。退職後も書道の芸術に対する追求を続けていくということです。書道はもう彼の生命の一部で、これからも、より多くの優れた作品をつくり続けたいということです。(翻訳:トウエンカ)

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