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人民元と日本円の直接取引

2012-06-06 10:04:30     cri    

 日本の安住財務相は5月29日、閣議後の記者会見で、円と中国の人民元を直接交換する取引を6月1日から東京、上海の両市場で始めると発表しました。

 これまでは市場が未整備だったため、円と元は大部分がドルを介して間接的に交換されていましたが、直接取引により両替手数料の削減や対中貿易の拡大などが見込まれています。

 ドル以外の主要通貨で元と直接取引するのは日本円が初めてです。日本の3大銀行は取引への参加を発表しましたし、産業界からも利便性の向上などへの期待が膨らんでいます。

 上海外為市場では、中国政府の指定銀行が提示した交換レートの平均値を毎朝公表。参加銀行は平均値から上下3%の範囲内で取引を行います。東京外国為替市場では、参加銀行が仲介役の短資会社を通して円と元の交換レートを提示して決め、売買します。円とドルの取引などと同様、価格変動への制限は設けません。

 従来は円をドルに替えた上で、ドルを元に替えるケースが大半でした。手数料が二重にかかり、交換レートがドル相場の変動に影響されるリスクもありました。

 昨年12月、日本の野田首相の中国訪問に際して、中日両国は財政・金融分野の協力について多くの共通認識に達しました。また、今年2月、人民元と日本円の直接取引について、手続きを簡略化し、手数料を削減することで合意しました。

 直接取引が広がれば、ドルに替える際の手数料が不要となり、輸出企業や中国旅行をする個人の両替手数料が下がると見ています。企業も日本国内で元を調達しやすくなり、中国での事業拡大に活用できます。

 中日間の貿易額は2001年には10兆7900億円でしたが、2011年は約2.5倍の27兆5400億円に急増しました。日本政府は円と元の直接取引を増やすことで日本企業の対中貿易を後押しすると共に、東京市場の活性化につなげることも狙いです。

 日本は、中国の外資導入にとって重要な相手国となっています。こうした貿易と投資の盛んな需要が人民元と日本円の直接取引の実現を後押ししており、中日両国は、その直接取引によって貿易と投資をさらに利便化しようとする狙いがあると見られています。

 日本産業界でも期待の声は多く、ブリヂストンの津谷正明・最高経営責任者(CEO)は日本自動車タイヤ協会の会長として「米国の政策によってドルが大きく変動する状況は喜べず、そういう面でも円と元の直接取引は歓迎だ」と述べました。

 一方、中国には「ドル依存体質からの脱却を図る」(国際金融筋)狙いがあります。中国メディアは29日、「厳格な元の外国為替規制を緩和する契機に」との期待感を伝えました。元高への圧力を強める米国を牽制しながら、元の国際化を加速する戦略ですね。

 簡単な調査によると、中国A株市場上場企業のうち、ソフトウエア関連の企業の対日業務が比較的多いことがわかりました。興業証券ソフトウエア業アナリストは、「人民元と日本円の直接取引は、ソフトウエア企業の為替取引コストの軽減につながり、日本向け業務はさらなる発展と強化を成し遂げることができるだろう。業績にとってプラスの影響となる」と述べました。

 業界の専門家は、「米ドルは国際通貨システムで主導権を握っており、短期間でそれを変えるのは難しい。人民元と日本円の直接取引の開始後、中日双方の企業が日本円、人民元での決済を望むかどうかを見守る必要もある」と指摘しました。

 現在、イギリスやシンガポールなども、人民元と自国の通貨を直接交換できる金融システムの構築を目指していますが、中国は最初に日本を選びました。そこから、中国と日本は政治関係は不安定であるものの、互いに重要な貿易および投資の相手だと見ていること、そして、それぞれの経済利益を図ろうとする姿勢が見られます。

 ヨーロッパの債務危機の影響で、世界の金融市場は低迷しており、各国の金融業界は、リスク回避と同時に、新たな市場の成長点を探ろうとしています。人民元と日本円の直接取引の実現は、人民元国際化プロセスの重要な一歩となり、中日両国間の金融、特に日本の金融機関や東京の金融市場の成長に大きな可能性をもたらすということです。さらに、世界の金融市場における人民元と日本円の影響力を高めることです。

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