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「ボルボ」買収から半年、「吉利」の今は?

2010-09-15 09:44:51     cri    

 中国の自動車大手・吉利(ジーリー)自動車は今年3月、アメリカのフォード・モーター傘下の高級車ブランド「ボルボ」を買収しました。あれから半年くらい経ちましたが、吉利自動車は最近、今年前半の業績を報告しました。去年の同じ時期に比べて、販売台数は42%増えて19万台となり、利潤額は35%上がって8億元(およそ98億円)に達したと発表しました。しかし、ボルボについては触れませんでした。

 では、ボルボはどうなっているのでしょうか。

 吉利自動車が、世界でも有名な高級車ブランドのボルボを買収したことは、中国国内でかなり話題になっていました。「吉利が世界進出に向かって第一歩を踏み出した」と評価する声もあって、「ボルボはただ花瓶のような飾り物だ」「ボルボは負担になる」などという悲観的な見方もありました。

 買収の目的について、吉利自動車の李書福社長は、ボルボというブランドとその技術を自分のものにするとともに、吉利は中国の市場をよく分かっているから、中国市場にボルボをより一層進出させることができるというふうに考えているようです。ボルボの買収について、中国のメディア関係者は、お金よりも技術面で得だったと見ています。中国の自動車関係の雑誌「車とスポーツ」の李暁非副編集長は、次のように話しています。

 「買収の金額で見れば、当時、フォード・モーターがボルボを買収したときは64億ドルでしたが、今回、吉利は3分の1以下のおよそ20億ドルで手に入れました。確かに"安物狙い"というか、安いから買ってしまったというイメージがあるかもしれません。でも、私の考えでは、吉利のような中国の民間の自動車メーカーが国際競争に参加することについては、お金にだけ目を向けてはならないと思います。というのは、その背後にあるものを見極めなければいけません。吉利自動車は"ボルボの生産ラインと管理システムをそのまま維持し、ボルボの技術をある程度導入して、吉利の車の開発に活かす"としています。ですから、この買収は、もちろんお金の面でも得だったのですが、それよりも、自動車の先端技術と企業管理についての収穫が大きいのではないかと思います」

 ボルボの発表では、ここ数年間の赤字額は年間およそ10億ドルになっています。また、吉利にとっては、車を海外に輸出する経験もないし、高級車を生産する能力も足りないのが現状です。吉利が直面する課題について、雑誌「車とスポーツ」の李副編集長は、このように話しています。

 「低迷しているボルボを元気付けて、立ち上げることが今、一番大きな課題となっています。これは、お金だけでは解決できません。まず、ボルボの生産と管理の哲学を理解してから、その経営に徐々に参加し、そして、それを改善することでしょう。その一方、ボルボにとって、中国の企業に買収されたとはいえ、その市場は決して中国ばかりでなく、今までと同じように世界中にあるものです。これから、経営状況を改善し、シェアを拡大するには、今までより、さらに効果のある方法が必要です。吉利とボルボは、そういった様々な点において協力し合うまで、時間がかかりそうです」

 まだまだ赤字額が大きく、好転するのに時間がかかるといわれていますが、こんなボルボを買収した吉利は、いまの段階では、やっぱり中国国内の市場が大事なのでしょう。吉利の関係者によりますと、スウェーデンとベルギーにあるボルボの工場はそのまま維持されます。その上、中国では、今は四川省の中心都市、成都で1ヶ所建設されていますが、中国にも工場を設けて、中国の消費者向けに車を開発するということです。

 それから、吉利自動車の長期的な目標ですが、ドイツのBMW7シリーズなどの高級車と競争できるように、今後3年から4年以内に、ボルボの高級車の車種を2つか3つ増やす計画だそうです。この点について、李副編集長の話です。

 「去年、中国の自動車生産台数と販売台数はいずれも世界一でした。この勢いに乗って、中国の自動車産業は国内にとどまらず、海外にもどんどん進出していくと予想されます。そんな中で、今回の買収は、中国の国産自動車メーカー、および合弁会社に新しい可能性、新しい道を示してくれたと思います」

 (翻訳・編集:鵬)

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