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国際金融危機を背景にした中国金融業

2009-02-12 14:23:00     cri    

 アメリカのサブプライムローンによって引き起こされた世界規模の金融危機はますます広がっています。その影響によって、多くの多国籍企業が破産し、アメリカ政府も急遽金融機関に資金投入をしました。これほど大きな影響を受けたにも関わらず、中国の銀行業は比較的安定した2008年を過ごし、新たな一年の計画を立てたのです。

 金融業のグローバル化が進む中で、今回の金融危機の影響を受け、世界各国の大型金融機間が最も大きな被害を受けました。危機の源、アメリカでは、ベアースターンズ、リーマン・ブラザーズ、メリルリンチの世界投資銀行の御三家、及びアメリカ最大の貯蓄貸付組合であるワシントン・ミューチュアル社が相次いで破産しました。また、ヨーロッパでは、ベルギーのフォルティスグループ、イギリスのノーザン・ロック銀行など大きな金融機間が政府に受け継がれました。アジアでも、日本政府は金融業への資金投入によって、金融業の危機を緩和させようとしています。

 それに比べると、中国の銀行業はある程度安定しています。2008年の前の三つの四半期、上場した銀行14社の利潤は前の年の同じ時期より5割以上増えたのです。そのうち、中国工商銀行は930億元の利潤額で世界で最も儲かった銀行になりました。このほど開かれた「2008中国金融フォーラム」で、中国銀行業監督管理委員会の劉明康会長は「中国銀行業の運営が良好だ」として、「2008年11月末まで、中国銀行業の資産総額は61兆1000億元になった。銀行業の危機対応能力がだいぶ強化され、資本充足率が合格した商業銀行の資産は商業銀行資産総額の99.5%を占めている。また、銀行のサービスレベルも高められ、機能も絶えず整備しているところだ」と述べました。

 一部の銀行がアメリカのサブプライムローンの投資によって損失を持たされていますが、「これらの損失は限られているもので、しかも、対応できる範囲内にある」と中国人民銀行の周小川総裁は見ています。

 資料によりますと、アメリカのサブプライムローンとリーマン・ブラザーズ社の株など危機資産を持っている銀行は中国工商銀行、中国建設銀行と中国銀行がメインですが、業界内の考えとして、危機資産がこれら銀行の資産総額に占める割合は1万分1ほどなので、それほど影響を受けていないとも言えるということです。

 このほかに、中国は2003年から国有商業銀行の株式制改革をスタートしたので、銀行の経営レベルと危機対応能力が高められたことも、今回の金融危機に対応できる原因とも言われいます。株式制改革をしてから、中国の主な商業銀行の不良貸付残高と不良貸付率がいずれも下がっています。2008年12月末までに、中国商業銀行の不良貸付残高は5600億元、不良貸付率は2.45%で、改革前の2002年はそれぞれ、4兆元と23.6%でした。

 今回の金融危機で中国の銀行業は大きなダメージを受けませんでしたが、アメリカのサブプライムローンによる世界範囲の巨大な損失を鑑み、中国の銀行業は今後に備え、対策を講じています。中国銀行監督管理委員会は銀行業の更なる危機対応の取り組みを求めています。2008年11月、中国銀行監督管理委員会の蒋定之副会長は「今後、中国の銀行業は海外資産の値下がりと損失を防ぐ一方、国内の柔軟した通過政策による不良貸付のリバウンドを防がなければならない」と示唆しました。目の前に世界各国の銀行の破産を見て、中国の各銀行も危機防止・対応能力の強化に取り組むようになっています。資産総額10兆元を持つ中国工商銀行は中国最大の商業銀行で、この銀行の姜建清取締役は「現在、国際金融危機の影響が広がり、世界経済の衰退と国内経済の低下のリスクが増し、銀行業は新世紀に入って以来最も厳しい試練に直面している」として、「工商銀行はリスクのコントロールと資産の安定を確保すると同時に、潜在的な発展のチャンスをつかみ、発展を推進していく」と述べました。

 新年早々、中国の銀行業は金融危機による新たなチャレンジに直面しています。中国銀行と中国建設銀行を含む一部銀行の外資株主は株を売り出したのです。そのうち、RBS社はこのほど、中国銀行の株資本4.26%に相当するH株108億900万株を協議移転の形で売り出しました。これについて、中国銀行の王兆文広報担当は「外資株主が中国銀行株の売買をするのは正常の市場行為で、中国銀行の経営に影響がない」として、「この部分の株の期限は2008年12月31日までなので、RBSは自社の経営と財務の状況から売り出すことは市場取引の正常な行為で、これについて理解している。今回の株売り出しは中国銀行の経営状況や財務状況に影響がない。中国銀行とRBSは今後も引き続き正常な業務提携を保ち、中国地区や海外での業務提携のチャンスを共に見出していく」と話しています。

 これについて、中国人民大学金融と証券研究所の趙錫軍教授は「外資金融機間がこの時期に中国銀行の株を売り出すことは、当面の金融危機に備えた自己保護によるものが多い。これらは金融危機の前にアメリカの金融商品を大量に買い付けたので、大きな損失を被った。自己保護のため、絶えず利潤で賄わなければならない。利潤が足りなくなれば、一部資産を売り出すしかない。これら金融機間は中国系の株を売り出すだけではなく、アメリカやヨーロッパ系の資産も売り出している」としています。

 今後しばらく、中国の銀行業はより多くの試練に直面しています。中国銀行監督管理委員会の劉明康会長は銀行業の監督管理目標を述べた際、「金融の安定と預金者の利益を確保することは中国銀行業の発展にとって、遵守しなければならない原則だ」と強調すると共に、「われわれは改革開放をより推進していく過程で、国内外の二つの市場からのリスクを防がなければならない。中国金融業の安定と安全を確保し、預金者の利益を保障し、銀行業の改革開放の成果を保護することを念頭に、リスクコントロール、国境や業界をまたなる監督管理を強化して、銀行業の安定し運営を推進していくよう」求めています。(翻訳:ヒガシ)

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