(吉林省檔案館で旧日本軍の公文書を保管する場所。普段は関係者も立ち入り禁止となっている。)
吉林省檔案(公文書)館所蔵の偽満州国時代の公文書に基づく研究成果をまとめた書籍『鉄証如山――吉林省新発掘日本侵華檔案研究』がこのほど、吉林出版集団から出版されました。
この本は、南京大虐殺・慰安婦の強制連行・731部隊へ「特別移送」された人・労働者の強制連行・日本軍の暴行・東北への移民・東北の抗日連合軍に対する弾圧・英米など捕虜に対する尋問と虐待という8つの部分に分かれ、合わせて89点の公文書を公開しました。
(ソビエトの工作員と認定された朝鮮人・李基洙の記録。後に731部隊に「特別移送」されたことが731部隊の関連公文書で明らかにされた。)
吉林省檔案館にはこのような公文書が合計10万点以上所蔵され、そのうち、90%以上が日本語で書かれたものだということです。これら公文書の一部は1950年代初め建築工事で発見され、後に吉林省公文書館に収められたものです。
長い間、所蔵してきた公文書を今になって公開する理由について研究館員の趙玉潔さんは、「公文書の整理・公開にはいくつかの段階があり、時間のかかる作業だ」として、「内容の解読には昔の日本語が分かる上に、その時代の歴史も知らなければならない。また、偽満州国中央銀行の公文書のような専門的なものを理解するには金融知識も必要なので、人員が少ない状況下では余計難しい」と説明しました。
2012年、公文書の研究は、「国家社会学科学基金特別委託プロジェクト」になり、強力なバックアップを得ました。テーマ別に研究チームを設け、公務員の翻訳者を募集し、内容の翻訳も含む解読に取り組みました。それまでは日本語の翻訳ができる人は1人しかいなかったということです。このほかに、資料の保護と使用の利便性を考えて、所蔵公文書のデジタル化も進めているということです。
(偽満州国では郵便検閲を実施していた。庶民から軍の兵士まで手紙は随時開けられ、問題だと思われる内容があれば送らない上に記録に残した。)
今回公開した公文書について、日本問題専門家の中国社会科学院日本研究所の蒋立峰研究員は、「今回、吉林省檔案館によって公開された資料は全面的なもので、政治・経済・南京大虐殺・慰安婦・移民・暴行なども含まれる。これらの資料は日本があの時代に確かに中国を侵略したことを物語っており、日本軍がかつて中国でどんなことをしたのか一目瞭然だ」とし、「われわれは日本国民にシグナルを送りたい。それは、現在の日本が歩む道は危険なものだということだ。1970年代、80年代、90年代は日本の軍国主義は復活できないと考えていた。それは憲法・国民・国際社会の制約があったからだ。このような条件が現在の日本では変化してきている。これは警戒しなければならない」と話ました。
侵略された過去の歴史は中国人にとっては苦難の思い出です。それに縛られるのはよいことではありませんが、再びそのような苦難に陥らないためには忘れることはできません。一方、過去に周辺諸国に侵略した国も戦争責任を自覚して反省してこそ、真に平和の道を歩めるでしょう。(ヒガシ)
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