CRI・中国国際放送局の馬為公副総編集長が26日北京で行われた北京―東京フォーラムのメディア分科会に参加し、基調演説を行いました。演説の内容は以下の通りです。
ご来場の皆様
今回のフォーラムに参加されている皆様の心境は、穏やかなものではないかと思います。私たちは、中日関係は困難な時期にあるという現実に向き合う必要があります。今年の4月、私は北京で中日メディア人の対話会議に参加しました。両国のメディア代表が討論した議題は、今回のフォーラムと同じものです。それは、メデイアが、中日関係の友好発展を促進させ、両国民の交流と理解を深め、両国民の相互尊重を促すことにおいてどのような責任を担い、どのような役割を発揮できるかというものです。
メディアは出来事を報道する機関であります。近年、中日両国のメディアは一部の出来事に対し多くの報道を行っています。歴史問題、食品安全問題、領土問題などが両国メディアの報道が最も集中する話題です。しかし、同じ出来事を報道するにしても、両国の報道の角度、評論などには鮮明な違いがあります。これはおかしなことではありませんが、中日両国関係における一部の食い違いにつて、特に敏感な問題に関しての両国メディアの報道は、両国民それぞれが相手国を理解するための重要且つ引率的な役割を発揮することになるのです。
アンケート調査では、90%以上の中日国民は相手国を理解する方法としてメディアを活用しています。これはメディアが、異なる国の国民同士が相互理解と交流を成しうるための重要な架け橋だということを指しているのです。メディアの社会責任を軽視してはいけません。中日両国のメディア人は、それをはっきりと認識すべきなのです。中日の関係発展の義務と責任を担っているのです。
数日前、放送局に古くからの、あるリスナーがいらっしゃいました。93歳の神宮寺さんです。神宮寺さんは、毎年秋にご家族と共に北京を訪問されます。「子供達の顔が見たい」とおっしゃるのです。実は、神宮寺さんは数十年もの間ずっと我々放送局の番組を聞いてくださっているリスナーであるだけでなく、私たちの友人でもあります。というのは、中日の架け橋として、私共、放送局の若き日本語部アナウンサーを代々テレビ山梨に研修に行かせてくださり、いろいろとお力を貸して下さっているのです。ご自身の子供達とも言える多くの記者とアナウンサーを育ててくださった神宮寺さんは、今では日中友好協会の常務理事、山梨県日中友好協会の副会長として中日の民間交流に尽力されています。今回のフォーラムについては、「両国民の友好交流の強化こそがテーマとなるべきだ」とおっしゃっていました。
中日両国の民間交流は、両国の関係発展の重要な基礎です。両国関係の歴史をかえりみれば、如何なる状況においても民間交流が途絶えたことはありません。両国関係が困難な時期であっても、両国のメディア人を含む民間人が、両国友好の促進のために努力してきました。今年の初め頃、私共、放送局の日本語部の大先輩である李順然さんが中日対訳の著書『二十世紀人が二十一世紀人に残す物語』を出版されました。本の中には、李順然さんが多くの中日の著名人と交流された記録や、様々な時期において健全な中日友好関係を促すために努力した物語などが記されています。この本は、メディア人の責任は何かを教えてくれると思います。
メデイアの責任は、ただ出来事を報道するだけではなく、交流のプラットフォームを築き上げることでもあります。特に中日関係が困難な時期において、メディアは両国民の相互理解と交流の架け橋となるべきです。北京—東京フォーラムは既に9回行われてきました。これはメディア人と民間団体が作り上げたプラットフォームで、中日両国の元政府要人や著名人が積極的に参加し、中日関係について率直な意見を交わすなど、大きな意義があります。この場をお借りいたしまして、中国日報社と日本の言論NPOがフォーラムに多大な貢献をしてくださったことに感謝を申し上げ、フォーラムの成功を祈り、私の演説とさせて頂きます。
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