日本の安倍晋三首相が15日にTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加を正式表明しました。
TPP交渉に参加するかどうかについては、日本国内でも論議が続いています。TPPに参加すれば、日本の自動車や家電産業などには巨大な利益をもたらす一方で、農業は大きな競争圧力に直面するとみられ、特に影響を受けるのが、米や小麦、牛肉、乳製品、砂糖といわれています。
これについて、劉研究員は「ショックを受けるのは、まず、日本の農業で、その次は保険業だと思う。安倍首相の訪米中にオバマ大統領が約束したところをみれば、農業で少し譲歩する可能性があるので、デメリットは比較的少ないだろう。だから日本にとって、メリットのほうが大きいようだ。まず、エネルギー面で、福島県での原発事故の後、日本国内すべての原発を閉鎖したので、石油と天然ガスの需要が高まり、輸入コストが大幅に増えた。これによって、日本は米国やロシアから新たなエネルギー供給を見つけなければならなくなった。TPPに参加すれば、米国から液体ガスの供給がもらえるだろう」との考え示しました。
劉研究員は安倍内閣の重要な仕事はデフレから脱却し、経済成長を促すことで、高齢化が進む中、経済成長における客観的条件が整っていないため、東アジアや東南アジア諸国連合(ASEAN)の市場に頼るしかない。TPP参加は日本にとってよい選択ではないか、と分析しています。
同時に、劉研究員は、中国周辺の安全が緊張状態にある中で、日本がTPP参加によって米国との同盟関係を強化しようとしていることも考えられると話しました。
一方、米国がTPP交渉を通じて、アジアに目を向ける戦略に戻る意向があるかどうかについて、劉研究員は「米国はアジア太平洋地域でTPP交渉を行うほかに、欧州とも自由貿易協定交渉を始める予定だ」として、「このような背景からみれば、米国の戦略はアジア太平洋だけではなく、その目的はドルの覇権を再建することだ」と指摘しました。
劉研究員の分析では、米国の覇権維持を図るグローバル体制の構築には、アジア太平洋地域は、よい選択であり、よい出発点だ、とオバマ大統領が言ったように、TPPをアジア太平洋地域だけではなく、世界のモデルにしたい、つまり、米国が主導する多角的な世界を築くものだということです。
中国はアジアでFTA、つまり、中、日、韓三ヵ国を主体とした自由貿易協定を提唱してきました。日本がTPPに熱く、FTAに冷たくする姿勢によって、中国の貿易環境は大きなショックを受けるに違いないと、劉研究員は率直に話しました。(ヒガシ)
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