中国初の高齢化問題に関する青書『中国高齢者事業発展報告(2013)』が27日北京で発表されました。この報告書によりますと、高齢化社会を迎える中国の多くの都市が問題点を抱えており、インフラ施設の中には高齢者社会に適さないものが多いなどの弱みが徐々に浮き彫りになっているということです。また、専門家は「高齢化問題を解決するには、公共サービス担当部門の高齢化問題に対する意識を高めると同時に、政府部門による資金や土地、管理の投入を増やす必要があり、老朽化した家屋の改修工事も次の都市化建設の重点にしなければならない」と話しています。
『中国高齢者事業発展報告(2013)』は、中国高齢科学研究センターによりまとめられたもので、2012年から2013年にかけての中国の高齢化の状況や高齢化政策、養老問題と医療保障事業、高齢者事業の法制化プロセス、高齢者サービスなどについて深く研究・検討しています。
新中国成立当初に生まれた人口が高齢化することにより、中国では初めて高齢者の急増期を迎えています。2012年末の時点で中国の高齢者数は1億9400万人に達し、総人口の14.3%を占めています。2013年には、その数はさらに2億の大台を突破し、2億200万人になる見込みです。高齢化が進む中、改革開放実施からこの30年の間、経済が急速に成長し、都市化を刺激する要因となりました。高齢化と都市化の影響により、居住、公共施設、環境の面では高齢者のニーズを満足できないのが現状です。報告書によりますと、中国の多くの都市では、開発当初、人口構造の変化要素を十分考慮しなかったため、多くのインフラ施設は、使用上、高齢者や障害者にほとんど配慮していないということです。
インフラ施設の問題について、全国高齢弁公室副主任を兼任する中国高齢科学研究センターの呉玉韶主任は、「たとえば、低層ビルにエレベーターが付いていない。歩道橋や地下通路が多い。地下鉄では、上りのエスカレーターがあるのに対し下りのエレベーターがない。エスカレーターの勾配が急すぎる。バス停のホームが高すぎるなどたくさんの問題がある。ほかにも、歩行者用の青信号の時間が短すぎる。青信号がわずか20秒で変わる交差点があるが、高齢者にとって、20秒で大きな交差点を渡るのはなかなか難しいと思う」と語りました。
高齢者が暮らしやすい環境を作ることは、新型都市の発展の需要であり、高齢化問題に対応する国の戦略でもあります。2009年、「高齢者友好型都市」と「高齢者が暮らしやすいコミュニティ」プロジェクトが立ち上げられ、第12次5カ年計画の一環として全国で推進されています。
これについて呉玉韶主任は、「高齢者の暮らしの問題を解決するには、2つの対策がある。まずは、公民、特に公共サービス部門の高齢者社会に対する意識を高めること。今後は、都市開発や住宅建設、インフラ建設に際して必ず高齢者の要素に配慮しなければならない。特にその基準化を強化するべきだ。次は、高齢化社会の需要に応じて都市と住宅の改造を推進することだ。ここ数年、北京や上海などではこのような改造プロジェクトがすでに始まっている。去年、上海では最低生活保障を受ける高齢者1000世帯を対象にバリアフリー改修工事を実施し、いい成果をあげている。北京でも近く、古い住宅地でエレベーターの取付作業を始める予定だ」と説明しました。(ミン・イヒョウ)
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