日本の東京都庁は、最近、アメリカの「ウォールストリートジャーナル」に、釣魚島購入をテーマとした広告を出し、「もし中国と対立するアジアの国を支持しなければ、アメリカは太平洋にあるすべてをなくしてしまう」と主張しています。この広告は、最近、中国周辺の一部の国が、釣魚島と南海問題でもめごとを引き起こそうとしている1例です。
こうした国々がこういった行動を取り始めた主な原因は、2011年下半期から、アメリカの首脳が様々な機会に、戦略的重点をアジア太平洋地域に移すと明確に表明したことにあります。特に、オバマ政権が出した軍事戦略報告は、「アメリカの軍事指導力を再定義する」としていますが、これは、アメリカの経済力が相対的に低下する中で、軍事力を利用してアメリカの超大国としての地位を維持しようとするものです。こういったアメリカの動きに、これらの国々は、チャンスが訪れたと見なし、より多くの利益の獲得に乗り出しています。たとえ紛争を引き起こしても、アメリカが後ろ盾になってくれるに違いないと信じています。
しかし、アメリカは、中国周辺の島嶼と海洋権益の問題で強硬な態度を取っているように見えても、実際の戦略の実施では多くの課題を抱えています。
第1に、アメリカは、同盟国との安全保障の約束を履行する立場に追い込まれたくはありません。第二次世界大戦後、アメリカはアジア太平洋の一部の国と軍事同盟関係を結びました。そして、最近、同盟国の安全保障の約束履行を重ねて強調しています。これは、アジア太平洋に戻る決意を表明するためであり、同盟国を自らの戦列につなぎとめ、自国の利益に貢献してもらうためでもあります。ただし、アメリカは世界で唯一の超大国として、世界中の同盟国のネットワークを支配する重要な手段として、同盟国の安全保障を約束しているだけで、意思にそぐわぬ戦略的な選択には巻き込まれようとしていません。
第2に、アメリカは、危機が絶えず悪化することによって、コントロールできない状況になってほしくはありません。アメリカは、日本や東南アジアの一部の国の領土と海洋権益の問題を利用して、中国の安全保障コストを高めるとともに、これらの国々からより一層頼りにされることを意図しています。そこで、中国周辺の地域で危機発生を望んでいますが、一方、状況を支配できなくなる事態になるのは望んでいません。これに対して、日本や、南海の領土権を主張する国々は、中国の島嶼と海域を長期的に占領しようとして、懸命にアメリカに支持を求めており、目的達成のために、より深刻な争いを引き起こす恐れもあります。しかし、それは、アメリカを困難な戦略的選択に直面させるでしょう。
第3に、中国と直接対立するのは、アメリカにとって現実的な戦略選択ではありません。現在、アメリカ国内で、最も注目されているのは、経済の回復と繁栄です。もし、中国の最も重要な利益にかかわる衝突に巻き込まれたら、両国関係の悪化を招くに違いありません。これこそアメリカは望んでいません。
同時に、釣魚島問題にしても、南海問題にしても、どちらに理があるかを、アメリカははっきり把握しています。
このことから、一部の国がアメリカの後ろ盾を利用して、衝突を引き起こしたらアメリカが直接介入すると思うのは、一方的な願望であるとしか言えません。
(朱丹陽 大野)
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