このほど、アメリカと日本は領土問題をめぐって中国に対し強硬な態度に出ています。東海問題においては、アメリカの高官が「釣魚島は米日安全保障条約第5条の範囲内にある」と表明しました。その後日本の野田佳彦首相は釣魚島の国有化の方針を打ち出しました。また南海問題においては、日本は海上保安庁を通じてフィリピン沿岸警備隊の能力向上を支援し、近いうちにフィリピンに巡視艦数隻を提供することを承諾しました。先週開かれたASEAN・東南アジア諸国連合外相会議では、アメリカと日本が法的拘束力を持った「南海行動規範」協議のできるだけ早い開始を中国側に呼びかけました。しかし結局、会議は米日両国が望むような共同声明を発表しませんでした。これは「平和と発展」が依然として世界の共通テーマであることを示しました。
1990年代初め、冷戦時代が終結し、東南アジア諸国は地域の平和と協力そして共同発展という歴史的課題を検討し、東南アジア諸国連合外相会議とARF・東南アジア諸国連合地域フォーラムが並行する協力メカニズムの構築を目指しました。
しかし2008年、アメリカを震源とする金融危機が発生しました。これは金融市場を通じて世界に影響を与え、大規模な国際経済危機となりました。地域領土・領海などの昔から続く安全問題は一部の大国に操られ地域協力の障害となりました。
アメリカと日本を始めとする先進国が地域の安全保障問題を操ることはアジアへの危機転嫁を図るねらいがあります。歴史を振り返ってみれば危機が発生すると、往々にして危機発生国には経済衰退と国力低下という問題が生じています。新しい力関係の変化に伴い、新たな国際秩序を形成し始めます。新しい秩序の形成は権力の中心が転移することを意味し、更に元の主導者の地位と影響力の弱体化を意味します。
冷戦終結後、新たな世紀に入り、中国経済は世界経済システムに融合し、積極的な地域協力の展開に伴い、中国と東アジア地域の経済は急速に発展し、世界経済の重心は西から東へ移動し続けています。特に欧米諸国と日本はサブプライムローン危機や金融危機、主権債務危機さらに原子力発電所の放射能漏れ事故の発生で混乱している時期に、中国は北京オリンピックや上海万博の開催で成功を収めました。経済規模においても日本を抜き、外貨準備世界第1位の国となり、世界経済を牽引する存在となりました。
危機と繁栄、上昇と下降に直面し、これまでの主導者たちは地位が低下しつつあることを感じ始めています。特に中国を中心とするアジアの平和協力が調和の傾向を見せているため、以前の強国たちは自身の地位が脅かされていることを痛感し、「中国脅威論」を広めました。このような背景の下で、南海紛争や東海での漁船衝突、釣魚島の国有化などは中国を攻め立てる手段となりました。
しかしこのたびのASEAN外相会議で米日両国の期待どおりに合意に至らなかったことは、東アジア地域の人々が自ら定めた規則を再び新たに確認するということです。即ち「南海各方面行動宣言」が定めた「友好な交渉を通じて、平和的手段で南海紛争を解決するという原則です。これは東アジアの人々の共通認識であり、危機転嫁対応への根本的な保障でもあります。
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