今年7月、中国の貿易黒字は287億ドルに達し、2009年2月以来最高値を記録しました。これに対して、一部の国と利益集団から中国の「貿易黒字責任」を追及する声が上がり、中国が貿易黒字を抑制するよう呼びかけられています。
今年の3月に、中国は72億ドルほどの貿易赤字を出していたことから、貿易黒字についてより全面的かつ客観的に分析する必要が出ています。経済界では、収支の差額がGDPに占める割合がプラスマイナス5%以内なら、貿易のバランスが取れていると見なされますが、中国が貿易黒字になったのは1994年からであり、割合は3%以下を保ち続けています。ただし、2008年に6.9%に達したことがあります。
これについて、中国国家発展改革委員会対外経済研究所の張燕生所長は次のように分析しています。
「2008年はバブルの頂点だった。この時期の貿易黒字は特殊なものだったと言える。アメリカ発の金融バブルが世界的に異常なニーズを作り、中国の輸出の増加につがなったと同時に、輸入の増加にもなった。そのため、一時的な貿易黒字になったとしても、バブルが崩壊後、それは大幅に減少してくる。」
張燕生所長によりますと、2009年の貿易黒字は前の年に比べ34%、1020億ドル減り、今年上半期は昨年の同じ時期に比べ42.5%減り、貿易黒字がGDPに占める割合は2.2%まで減少したということです。
一方、中国の貿易黒字をもたらしたのは、殆ど外資系企業であることに注目してほしいものです。特に今年の上半期、中国で投資する多国籍企業が急速に増え、新しく設立された外資系企業は1万2400社に達し、昨年の同じ時期より2割増えました。実際のところ、外資系企業は中国の対外貿易の半数以上を行っています。
また、2009年、外資系企業による貿易黒字は全体の65%を占め、1270億ドルでした。張燕生所長は次のように分析しています。
「加工貿易はグローバル化の結果である。多国籍企業は生産ラインの一部を人件費の安い中国に配置しているが、80%の価値はアメリカや日本、韓国、ヨーロッパなどで作り出されている。中国は僅か20%に過ぎない。しかし、原産地は中国であるため『メードinチャイナ』になっている。」
外資系企業加工貿易の黒字の抑制は、中国の貿易黒字を減少させるポイントであるため、中国政府はそのための一連の措置を講じてきました。
「加工貿易の黒字は安い人件費などと深く関係しているが、仮に中国の安い労働力や土地、環境、ガス、電力、ガソリンなどのコストが変われば、多国籍企業は生産拠点を中国以外の場所へ移してしまう。そうなれば、加工貿易の黒字が減少し、全体の貿易黒字も減ってくる。」
17日、中国商務省の報道官は「今年、中国の貿易黒字は持続的に減少し、今後数ヶ月に輸出の増加も落ち着いてくる」と明らかにしました。(閣)
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