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担当:王小燕、斉鵬
卒業シーズンを迎えた中国。北京でも、大学キャンパスに行けば、アカデミック・ガウン姿で記念写真を撮る学生たちの姿が目立ちます。
こんな中、北京からお送りする今日の番組は最近火曜ハイウェー宛てに届いたお便りをご紹介した後、<斉鵬アナが注目するなんでもランキング>では、まずは各国のスマホユーザーのスマホ依存度を取り上げます。世界で最も長い時間スマホを使っている国は、中国ではないようですが、いったいどこなのでしょうか。ドイツの調査会社「スタティスタ」の調査結果を紹介します。
続いて、米調査会社「ICインサイツ」が行ったスマホの出荷量ランキングです。2016年、世界の主要スマホ・メーカーの出荷台数で上位14位のうち、10社が中国企業で占められているということでした。
後半はシリーズ企画・「中国農業の今」。引き続き、清華大学が主力になり、排煙脱硫石膏による塩類土壌改良にフォーカスします。
(左)清華大学塩類土壌改良張北基地 (右)張北で有機野菜を栽培する徐志海さん
前回は、清華大学、東京大学の学者たちを始め、中日両国の研究者が石炭を燃焼するプロセスで発生する「排煙脱硫石膏」を塩類土壌の改良に生かした技術の開発プロセスを紹介しました。今週は、中国で塩類土壌の改良が重視されることの背景、また「排煙脱硫石膏」による土壌改良の各地での普及の様子を取り上げます。
今回の番組制作にあたり、清華大学塩類地区生態修復と炭素固定研究センターの王淑娟執行主任、河北省張家口市張北県の改良済み農地で有機野菜の栽培をしている徐志海さんにインタビューしました。
「塩類土壌の改良を通じて、該当地域で新しい農業の在り方を確立する。工業、農業、環境の三立を図ると同時に、地域の貧困脱却にもつなげたい」
これが、王淑娟主任の意気込みです。
前回の番組でも紹介しましたが、東北地方の遼寧省康平県では97年、脱硫石こうで改良した24平方メートルのアルカリ性土壌でトウモロコシを試験栽培しました。その結果、発芽率は1年目で60%、2年目で80%、3年目には100%に達し、技術の土壌改良の有効性が判明しました。16年末現在、この技術が内蒙古や吉林、河北、新疆など全国に広がり、試験面積は1万3300㌶超に達しました。
モデルケースの一つは、北京から約250㌔離れた河北省張北県の天聖農場です。同技術の応用と普及に特化した清華大学傘下の「華清農業」社は、ここで173ヘクタールの土地を改良。合わせてソーラーパネル付き、広さ2400㎡の農業ハウスも1棟建造し、発電はハウス用にも使えますし、余った電力は系統連系して売電もできます。
これら農地と施設は17年、地元の農業経営者・徐志海さん(32歳)に丸ごと手渡され、北京市場向けの有機野菜栽培に使われています。改良所要費用とハウスの建設費は助成金で賄い、徐さんが同社に支払う費用は6.67アールあたり年間300元(約5000円)の土地借用金のみです。その代り、徐さんはここで栽培を続け、観測データを同社に提供し続けることになっています。
60個余りのビニールハウスで実際に野菜の手入れするのは、地元の農家です。栽培の品種や、品質管理、販売はすべて徐さんが率いる農場の担当です。徐さんの農場で作られた野菜の味と安全性が評価され、日系流通大手のイオン北京が、この7月1日から店内で専用カウンターを設け、双方による提携も始まったと言います。写真(上)左は清華大学塩類土壌改良張北基地、右はビニールハウスでトマトの成長具合をチェックする徐さん。
ただ、技術普及にはまだ壁が高い。最も難しい課題は、農業利用の許認可です。通常、土壌改良剤などの商品化には、農業省の認可を取得する必要があります。しかし、産業廃棄物の農業利用に農業省は、慎重な姿勢を崩していません。そのため、同技術はいまだ試験段階に留まっています。王主任は「20年にわたって観測した結果、改良効果と食品安全性に問題ない。5年以内に認定取得を目指す。これから十数年で1億ムー(約670万ヘクタール)の塩類土壌を改良し、中国の持続可能な社会作りに貢献したい」と意気込んでいます。
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