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7月4日 火曜日

2017-07-04 18:21:20     cri    

一時間目 世界各国のスマホー依存度ランキング、中国農業の今③

担当:王小燕、斉鵬

 卒業シーズンを迎えた中国。北京でも、大学キャンパスに行けば、アカデミック・ガウン姿で記念写真を撮る学生たちの姿が目立ちます。

 こんな中、北京からお送りする今日の番組は最近火曜ハイウェー宛てに届いたお便りをご紹介した後、<斉鵬アナが注目するなんでもランキング>では、まずは各国のスマホユーザーのスマホ依存度を取り上げます。世界で最も長い時間スマホを使っている国は、中国ではないようですが、いったいどこなのでしょうか。ドイツの調査会社「スタティスタ」の調査結果を紹介します。

 続いて、米調査会社「ICインサイツ」が行ったスマホの出荷量ランキングです。2016年、世界の主要スマホ・メーカーの出荷台数で上位14位のうち、10社が中国企業で占められているということでした。

 後半はシリーズ企画・「中国農業の今」。引き続き、清華大学が主力になり、排煙脱硫石膏による塩類土壌改良にフォーカスします。

 
(左)清華大学塩類土壌改良張北基地 (右)張北で有機野菜を栽培する徐志海さん

 前回は、清華大学、東京大学の学者たちを始め、中日両国の研究者が石炭を燃焼するプロセスで発生する「排煙脱硫石膏」を塩類土壌の改良に生かした技術の開発プロセスを紹介しました。今週は、中国で塩類土壌の改良が重視されることの背景、また「排煙脱硫石膏」による土壌改良の各地での普及の様子を取り上げます。

 今回の番組制作にあたり、清華大学塩類地区生態修復と炭素固定研究センターの王淑娟執行主任、河北省張家口市張北県の改良済み農地で有機野菜の栽培をしている徐志海さんにインタビューしました。

 「塩類土壌の改良を通じて、該当地域で新しい農業の在り方を確立する。工業、農業、環境の三立を図ると同時に、地域の貧困脱却にもつなげたい」

 これが、王淑娟主任の意気込みです。

 前回の番組でも紹介しましたが、東北地方の遼寧省康平県では97年、脱硫石こうで改良した24平方メートルのアルカリ性土壌でトウモロコシを試験栽培しました。その結果、発芽率は1年目で60%、2年目で80%、3年目には100%に達し、技術の土壌改良の有効性が判明しました。16年末現在、この技術が内蒙古や吉林、河北、新疆など全国に広がり、試験面積は1万3300㌶超に達しました。

 モデルケースの一つは、北京から約250㌔離れた河北省張北県の天聖農場です。同技術の応用と普及に特化した清華大学傘下の「華清農業」社は、ここで173ヘクタールの土地を改良。合わせてソーラーパネル付き、広さ2400㎡の農業ハウスも1棟建造し、発電はハウス用にも使えますし、余った電力は系統連系して売電もできます。

 これら農地と施設は17年、地元の農業経営者・徐志海さん(32歳)に丸ごと手渡され、北京市場向けの有機野菜栽培に使われています。改良所要費用とハウスの建設費は助成金で賄い、徐さんが同社に支払う費用は6.67アールあたり年間300元(約5000円)の土地借用金のみです。その代り、徐さんはここで栽培を続け、観測データを同社に提供し続けることになっています。

 60個余りのビニールハウスで実際に野菜の手入れするのは、地元の農家です。栽培の品種や、品質管理、販売はすべて徐さんが率いる農場の担当です。徐さんの農場で作られた野菜の味と安全性が評価され、日系流通大手のイオン北京が、この7月1日から店内で専用カウンターを設け、双方による提携も始まったと言います。写真(上)左は清華大学塩類土壌改良張北基地、右はビニールハウスでトマトの成長具合をチェックする徐さん。

 ただ、技術普及にはまだ壁が高い。最も難しい課題は、農業利用の許認可です。通常、土壌改良剤などの商品化には、農業省の認可を取得する必要があります。しかし、産業廃棄物の農業利用に農業省は、慎重な姿勢を崩していません。そのため、同技術はいまだ試験段階に留まっています。王主任は「20年にわたって観測した結果、改良効果と食品安全性に問題ない。5年以内に認定取得を目指す。これから十数年で1億ムー(約670万ヘクタール)の塩類土壌を改良し、中国の持続可能な社会作りに貢献したい」と意気込んでいます。 

二時間目 940万分の1の大学受験物語~北京市月壇中学・遅宇希さんに聞く

聞き手:王小燕

  

 中国では6月7日、8日に、年に一度の大学入試(「高考」)が終ったばかりです。今年は、全部で940万人が「高考」に参加しました。この内、北京市の受験生が60638人を占めています。

 成績が6月末に発表され、出願書の提出もその一週間後に終了しました。この後、7月中旬から合格発表になり、入試関連の諸手続きはこれでようやく一段落しました。

 毎年、入試のシーズンになりますと、社会から大きな関心が寄せられている「高考」。参加した受験生の一人ひとりが、どのような気持ちで、この試練に挑んだのでしょうか。今日は、今年の大学入試の受験生に感想を聞きます。ゲストは、中学から日本語を第一外国語として必修で学ぶ北京市月壇中学をこの夏に卒業した、遅宇希さん(19歳)です。

 遅さんは北京生まれの北京育ち。子供の時に見た「ドラえもん」や「ポケットモンスター」の影響で、自らの意志で日本語を学ぶ中学と高校に進学。4年前の2013年、中学を卒業した年に、日本国際交流基金日中交流センターの高校生招へい事業「心連心」に参加し、和歌山県岩出市で一年間滞在。「受験勉強を体験した人間にとって、4年前のことが遠い昔のことのようにしか思えない」とは言うものの、「日本はきれいな国で、人々もとても優しかった」と好印象でした。

 流暢に日本語が話せる遅さん。今年の大学入試の「日本語」科目では、なんと見事満点が取れ、合計点数も639点という高得点でした。「自分としてはまあまあ満足のできでしたが、数学ではミスもあり、それがなければ、もう少し良い点数だったのに」と悔しさもありました。

 ところで、遅さんのクラスでは、半分以上の同級生が中国での大学入試を見送り、日本留学の道を選びました。進路を決める高二の夏、仲良しの友人が相次いで日本留学を決めたのを見て、遅さんは大いに悩みました。とりあえず、日本留学に必要な試験に自分も参加し、行く準備だけはしていました。

 遅さんを「高考」に参加したくないと思わせた理由の一つは、「高考」という言葉の持つ「恐ろしい印象」だったと言います。

 「それまでに"高考"といいますと、ドキュメンタリ映像で見た"世界最大の入試工場"という別名がある『毛坦厂中学』を思い出します。あまりに怖かったので、そんな恐ろしい体験は、私はしたくはないなと思いました」

 しかし、人生は怖いものから逃げてばかりでは本当に良いのか、迷いもありました。

 「それで、考えても、考えても結論が分からなかった。考えてばかりだと、前へは進めない。それなら、逃避せずにチャレンジしてみようではないか」

 当時のことを振り返れば、遅さんは悩みの伝わる不安な声でした。

 ――さて、それで参加してみて、結果は?

 「全然怖くなかったですよ」、と一転して笑い声が上がりました。

 「とにかく、毎日やれるだけのことはやって、後は神様に任せる。そして、自分を信じることですね。確かに疲れましたが、疲れたって、一晩でも寝れば、元気になれる」

 若者らしいエネルギッシュな応答でした。そして、インタビュアを驚かせたのは、実に淡々と語った次の対話でした。

 ――受験準備をしていた間、毎日、何時間寝ていましたか。

 「私は睡眠をしっかり取ったほうでした。でないと、授業の時に眠くなるので、逆効果です。そうですね。毎日、5時間はしっかり寝ていました。夜は10時に寝て、朝は3時に起きて、宿題をしたり、模擬試験の問題集を解いたりしていました。3時起きだと、学校に行くまでの間に、たっぷり時間があるので、なんでもやりたいことはできましたよ」

 …

 高校時代の最後の夏休みをしている遅さん。今、夢中になって頑張っていることは、運転免許の取得です。早起きの得技が生かされ、毎朝6時に起きて教習所に通っています。このほか、家族や友達たちとの旅行も計画していて、英語の学習も心がけていると言います。

 ――大学での専攻は?

 「コンピューターを習いたいです。できれば、北京を離れて、南方の大学に入り、北京と違う文化を体験してみたい。大学生活こそ、自由に過ごしてみたいです。やりたいことは何でもチャレンジしてみたい」

 もちろん、お得意な日本語、そして、日本と結んだ縁についても忘れることなく、「チャンスがあれば、日本へ留学に行きたい」。

 頼もしい高校三年生。4年後に、大学を卒業する予定ですが、「その時にまたぜひスタジオに遊びに来てくださいね」と約束してのお別れでした。

 ということで、今回は「940万分の1の大学受験物語」と題して、19歳の遅宇希さんのお話をぜひお聞き逃しのないように。

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