撮影日:2014年4月3日
撮影地:上海・顧村公園
撮影者:上海外国語大学・劉怡さん、李瑶卿さん
数ある上海の桜の名所に、宝山区の顧村公園があります。土日や連休になれば、花見客でたいへんな混雑だと聞いていますので、授業のない平日の午後、私たちは念願の桜のお花見に行ってきました。
日本語専攻の私たちは、桜の花をこの目で見たいと言うのが念願の夢でした。
さくらの美しい姿を早く見たいと思って、地下鉄に乗りました。しかし、目的地に着くまでに2時間もかかりました。幸い、平日なので、観光客は思ったほど多くなく、ゆったりした気持ちで公園を散策できました。公園の入り口には、桜の花のような造花の花輪を売り歩く人たちがいて、子供たちには人気でした。
さあ、公園につきました。桜の花がもう目の前!と思ったら、歩いても歩いても、桜の花びらの1つも見えませんでした。
自分たちは向かう方向を間違えたのか、それとも、花の時期がすでに過ぎてしまったのか、不安になってスタッフを見つけて聞いてみました。
「早咲きの桜はもう散ってしまいましたが、遅咲きの桜なら、まだ咲いていますよ。」
とりあえず桜の花がまだ見られることが分かり、ひとまず安心しました。案内板に従って、遅咲きの桜を探しました。
歩くこと20分。
ようやく「桜友誼林」と看板の立っている場所にたどり着きました。
案内によりますと、ここは、上海桜研究所の成立1周年を記念し、2013年12月7日に完成したものです。「桜友誼林」の中には、上海辰山植物園から分けてもらった様々な品種の桜200本あまりが植えられています。桜が絆となって、顧村公園と辰山植物園が結ばれている。これまでに知らなかったことでした。
この2つの公園が桜で結ばれ、友情が生まれたことが1つの象徴だと思います。これからも、中国の「桜」にまつわる研究や観光開発(顧村公園では「桜事業」という言葉を使っています)がどんどん前進していくよう願ってやみません。
さて、「桜友誼」は、スタッフが教えてくれたとおり、遅咲きの桜の木が美しく咲き誇っていました。
「紅枝垂」と書かれている枝垂桜は、はにかみ屋の少女のように、小さな花を垂らして恥ずかしそうに咲いていました。「思川」という品種は、優雅なお姫様のように、白い紗でできたドレスを身にまとっているようでした。数で迫力を出していたのが、「白妙」です。花が群がって房状に咲いていて、アジサイのような毬のような形になっていました。
紅枝垂
枝垂桜
思川
中国語看板を直訳すれば、「アリアナ富士桜」ですが…
さくらの花に引き付けられたのか、「桜友誼林」にやってくると、花見客の人数が目立って増えました。どの人も桜をバックに写真を撮ったり、その美しさに感激したようで、声を上げて褒めたりして、忙しそうにしていました。
気ままに話をかけてみると、「近くに住んでいるので、毎年、春先になりますと、必ず花見に来る」人もいれば、「インターネットで顧村公園の紹介記事を読み、美しい桜の花に惹かれて」、地方からわざわざ桜のお花見にやってきた人もいました。
ところで、桜大道の脇に1本の小道がありました。陽春の昼下がりはぽかぽか陽気に、気だるく感じる頃でもありました。木々が生い茂っていて、緑に覆われているその小道はなんとなく神秘的なムードが漂っていました。、引きずられるように中まで入ってみると、意外な発見がありました。
そこには、満開のソメイヨシノが1本、立っていたのです。
まだ若い木ですが、枝中が白っぽい、可憐な花に包まれ、どの花も一生懸命に咲いていたのです。そよ風が吹いても、白い花びらはハラハラと、狭い道の上に舞い降りてしまいました。何とも言えない、ロマンチックな春の夢のようでした。心が温まり、素敵に思えた瞬間でした。
実は、上海には桜の名所が意外にも多いのです。この顧村公園のほかに、世紀公園や同濟大学など、桜の花がきれいな場所がいくつもあります。
桜は、日本を代表する花として、中国でもとても人気があります。美しいものには、国境はないのでしょう。お隣同士なので、中国と日本はどんなに喧嘩をしていても、時間が経つにつれ、いざこざがすべて過去となり、いつかは時間という川にきれいに洗い流されていくことでしょう。そして、「美しさ」だけがいつまでも残り、人々の脳裏に焼き付く。
今年の桜の時期はもうそろそろ終わりに近づいきました。早咲きの桜が見られなかった悔しさを胸に、また来年もぜひ桜の花に会いに来ると約束しました。
桜は日本を代表する花でもあります。来年の花見のことに想像を膨らませながら、中国と日本がいつまでも仲良く付き合っていくよう心から願っています。
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