撮影時間:3月28日
撮影場所:天津外国語学校のキャンパス
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私のイメージにある桜の花は、何よりも一片、一片の清らかなこと。鮮やかな色こそないものの、繊細な花びらには何ともいえない魅力があり、美しい乙女のよう。この春、そんな桜の花は、淡い香りを漂わせながら、私のそばにやってきて、春をきらめくものにしてくれています。
「サクラ」という花を知ったその日から、私の心は花の虜になりました。一面に広がる桜の木の下で、ぽかぽかと太陽の光を浴びながら、長閑に鼻歌を口ずさむ自分の姿を思わず想像してしまう。そして、風でも吹けば、花びらがひらひらと舞い散る。くるくる回りながら、私の鼻歌を伴奏にダンスでもしているように。遠くへ、遠くへと、私の子どもの時の夢でも乗せてくれているように、ひらひらと飛んでいってしまう…一人勝手に思い描く風景ではありますが、何故か、心の中に深く刻まれていました。あれ以来、いつか自分の目で桜の花を見て、自分が想像していた美しいシーンを本当に体験する日があることを楽しみにしてきました。
このような私の桜の夢が何と、一歩近づいてきたのです。去年の秋、1973年に、この学校の日本語クラスに入学した私の大先輩にあたる卒業生たちが、母校の開校50周年記念に桜の苗を寄贈してくれました。胸いっぱいに期待を抱きながら、私たち在校生も植樹に参加しました。「早く大きくなりますように」と毎日願っていました。これら桜の苗は、桜姫のようです。
この春、桜姫はこのキャンパスをより美しくしてくれただけでなく、日本の風情を私たちに実際に味わわせてくれるチャンスも提供してくれました。
桜の木を植えたあの日から、私はわくわくすると同時に、少し不安な気持ちもありました。それはつまり、もし桜姫がここの気候や土に馴染めなかった場合、どんなにがっかりするだろうということです。それ以来、雨の日も風の日も私は欠かさず、桜姫に挨拶しに行くようになりました。
気がつくと、また春がやってきました。外を歩ければ、色とりどりの花が相次いで綻び初めていました。桜姫のほうはどうなっているのか、気がかりな毎日でした。休み明けに、学校に戻ると、真っ先に行ってみました。なんと、桜姫は小さな、かわいらしい蕾を膨らませていました。思わず微笑んでしまった私。もう見えて来そうです。一面に咲き誇る桜の木の下を散策する自分の姿が。
今年も桜の季節がやってきました。これまでの春と違って、この春の私は、もうさくらの写真が掲載されている新聞をただ、ぼうと眺めるだけの自分ではありません。今年、私の桜の夢が初めてかないます。私は、自分が桜の花を見た時の感動と嬉しさを、私と同じように桜が大好きな皆さんに初めてお伝えできるようになります。
この春に私のそばで咲いた桜の花には、私の夢が託されています。日本文化のシンボルで、大勢の卒業生たちの母校への愛が凝縮されている桜、やっと花をほころばせてくれました。太陽に照らされ、艶やかに微笑んでいる桜の花はロマンチックな花です。花の時期が短くても、私の心の中には、いつまでも咲き続ける永遠の花なのです。(訳:つばめ)
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