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家に帰ることだけが親孝行ではない 【中国人民大学 肖玫】

2013-09-30 11:03:04     cri    

 2013年の夏休みは、私が北京で過ごした初めての夏休みです。広西チワン族自治区の故郷に帰らず、北京に留まってアルバイトをすることにしたのです。「せっかくの夏休みなのに、なんで家に帰らないの?親を懐かしく思わないの?」と不可解な顔をしている友だちが多いです。「いいえ」と答えれば、だったらなんで帰らないのと思う人がいるかもしれません。「はい」だったら、冷たい人間だなとも思われるかもしれません。親孝行しない人なんていないでしょう。ただ、私から見れば、親孝行とは必ずしも家に帰って親のそばにいるということではありません。私の場合、ほかの形をとっているだけです。

 夏休みに入ってから、隅々までといっていいほど、学校のあちこちは工事現場になっています。私の住んでいる学生寮もその中の一つ。

 寮の外での仕事中の建設労働者の姿が目に入るたびに、ふとお父さんのことを思い出します。今も遠く離れたどこかの工事現場には、お父さんが活躍する姿があるに違いありません。「活躍」という言葉は、普通ならエネルギッシュな印象を与える単語です。しかし、還暦を迎えようとするお父さんを描くのに使うと、なんだか心が痛む言葉になります。

 寮の外だけではなく、中にも工事があります。壁を塗り替えることです。まだらの壁が目に入ったとたん、ふと左官屋さんのこと、さらにお父さんのことを思い出さずにはいられなくなります。よく考えれば、お父さんも左官屋のひとりといえますから。ただし、壁にペンキを塗る左官屋ではなく、地面にセメントを塗る左官屋なのです。こう思うたびに、寮の全体に漂っている、鼻をつくペンキの臭いも平気で受け止められるようになってきます。ペンキの臭いを嗅がせられる人は大変ですが、塗る人はもっともっと大変ではないかと思うようになりますから。

 アルバイトで、はじめてのまともな給料をもらいました。どう使うかという問題に悩んだことはありません。答えはずっと前から頭の中にはっきりあります。自分より両親を優先的に考えるということです。初めての給料は、自分の生活を享楽させるのに使うものにすべきではなく、まずは親への恩返しに使うべきだと思いますから。

 健康は何より大事です。だから、まずは親の健康診断です。でも、それについて親の意見を聞いたことがありますが、あまり行く気がなさそうです。もしかしてお金の問題のせいかもしれません。お金が惜しいなら、私が稼いだお金をどうぞ!

 歳月は人を待ちません。だから、次は両親の結婚の記念写真を撮り直してあげることにしたいと思います。彼らの今の青春を留めたい、ひいては彼らを青春時代に戻してあげたいですから。彼らが若くて、正真正銘の青春時代を送っていたとき、お金がなかったのでまともな結婚写真を撮ることができませんでした。今、お金はありますが、青春はもう立ち去っていきました。喜ばしいことに、「今日」は「明日」から見れば青春といえるでしょう。だから、早いうちがいいでしょう。

 私は、朝から夜まで、家に帰りたいと思っているのではありません。毎日家に電話をかけようと思っているのでもありません。冷たいじゃないかと自分に問いかけたこともあります。実はそうではなく、形式を変えるだけです。親孝行とは、そばにいるだけではなく、心の中でも一緒にいるのです。苦しいときに、親のほうが私よりずっと苦しいに違いないと思うと、彼らのように困難に立ち向かう勇気が沸いてきます。楽しいときに、親のほうが私ほど楽しくないかもしれないと思うと、同じような楽しさを彼らに作ってあげる原動力も沸いてきます。

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