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春の思い出 【大連工業大学 李淼】

2013-09-25 11:23:28     cri    

 私は、大学に入学したのをきっかけに大連にきました。それまでの私は、大連といえば、美しい海や、暖かくて過ごしやすい気候などを思い浮かべていました。でも、実際に大連での生活が始まると、それまでは知らなかった大連の魅力を発見しました。

 去年の春初めて、国際桜祭りのことを知って、クラス全員で大連の桜園へ花見に行ったことがありました。桜の香りであふれる公園のなか、みんなで、満開の桜を背景に写真を撮ったり、和服を着てみたりしていると、ふと、私のすぐ側に、お母さんに抱かれたとても可愛い赤ちゃんがいるのを見つけました。私が赤ちゃんのところへ駆け寄って、つい日本語で「可愛い」と言うと、赤ちゃんのお母さんはとても嬉しそうに笑って、優しい、可愛い声で「ありがとー。おねえちゃん」と言ったのです。私は少しびっくりして、「えー、日本人ですか。赤ちゃんはとてもかわいいです。今、私は一年生です。まだ、日本語が上手ではありません。」と、たどたどしい日本語で言いました。すると、そのお母さんは、「日本語を勉強している学生さんですか。日本語がお上手ですね。」と、優しく微笑んでくれました。私が、「いえ、まだまだです。ありがうございます。」と言って、他にも何か言おうとしたとき、後ろから、「ねえ、こんどは、あっちへ行こうよ。早く!」と、クラスメートが私を呼ぶ声が聞こえました。それで、少し残念に思いながら、「失礼します。」と軽くおじぎをして、友達のところへ戻ろうとしたとき、お母さんは確かに「再见」と言ったのです。私は一瞬、とてもびっくりして、お母さんを振り返りました。でも、何と言ったらいいのかわからなくて、とっさに日本語で「さようなら」と言って、その場を離れました。

 帰りのバスのなかでは、ずっとあの優しいお母さんの笑顔や可愛い赤ちゃん、そして、お母さんの言葉などが頭に浮かんできました。特に、お母さんが最後に言った再见という言葉からはとても温かいものを感じました。大連では、私たち日本語専攻の中国人学生がいろいろと苦労して日本語を勉強している一方で、たくさんの日本人も、きっと中国での生活にも苦労しながら頑張って中国語を勉強しているのでしょう。そう考えるともっと、大連にいる日本人と知り合いたいと思うようになりました。

 あれから一年が経って、大連にも、再び桜の季節がやってきました。今でも、あのお母さんと赤ちゃんのことは、昨日のことのように憶えています。あれは、ほんの小さな短い出会いでしたが、私にとっては、春の日の桜の香りに包まれた優しいお母さんと赤ちゃんは、とても温かい思い出です。

 日系企業が多い大連は、中国人と日本人が共に生活している町といえます。私に日本人との出会いを与えてくれたように、これからも大連は中日両国の交流のきっかけの町となってほしいと思います。日本語を勉強している私も架け橋を支える一人になるために、今後も積極的に日本人と触れ合っていきたいと思っています。

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