会員登録

春の花—南京と東京をめぐって 【南京大学大学院  劉雅君】

2013-09-23 15:15:16     cri    

 3月に入ると、春が忍び足でやってくる。この時季、人々が一番楽しみにしているのは花見に違いない。花見といっても所変われば品変わるというように、さまざまある。中国の南京の花見は必ず梅の花だ。そして日本の東京と言えば先ず桜の花だろう。

 南京では、寒い冬が終わるころ、少しでも春めいてくると梅の花の蕾が膨らみ始める。さらに暖かくなると、五輪の花が香りとともに咲き誇る。その時季になると、南京の人は連れ添って、梅花山に行くのが最高の楽しみとなっている。山地と平野に咲き誇っている色とりどりの梅の花、その中を散歩していて、爽やかな香りを吸い込み春の気配を味わう。梅花山は明孝陵のすぐそばにある。燦爛な梅の花が遥か明の時代の城壁とお互いに映り合い、南京で春一番の風物詩になる。

 南京で梅の花が終わるころ、今年は、隣にある桜花園の桜の花が3月16日、満開になった。その日に東京の桜の開花宣言が出された。1週間後、淡いピンクの花が開いて、東京都内は夢のような桜色に染めわたる。桜が満開となるころは日本人にとって最高の季節だろう。家族を連れて上野公園に行き、桜の木の下でお酒を飲みながら、桜の花を楽しむのはこの上ない幸せなのだろう。風が吹いて花びらが落ちると、花吹雪を観賞することもできる。これは何より春一番の日本のシーンなのだ。そして、桜のシーズンに入ると、日本中あちこちで季節限定の食べ物が出てくる。桜の葉でくるんだ桜餅、ピンク色の桜で作ったお菓子や、八重桜を塩漬けにしてお茶の葉代わりにする桜湯などが出回る。物と言えば桜、色と言えばピンク。これはこの時季の東京の風物と言えよう。

 南の京の花は梅、東の京は桜。この二つの花はとてもよく似ている。所属は同じバラ科で、色は主にピンク色と白が多い。また五輪の花が多いという点も一致している。そして人々に一番愛され、その地方の風物詩として欠かせない要素の一つなのも一緒だ。春を代表するこの二つの花に、たくさんの共通点があることで、南京と東京の二つの都市が微妙に繋がっているような感じがする。

 同時に、違うところもある。もっとも違うのはその花言葉だ。梅の花は春を最も早く感じ取り、春に先駆けて咲く。極寒の天候もいとわず咲くので、適応力と忍耐力が強い。中華民族精神の代表と言われ、花言葉は「忍耐強い」と「忠誠」だ。だから、中国では梅の花は忠誠である英雄を代表するシンボルとして使うことが多い。桜の花言葉は品種ごとに花言葉が違う。山桜なら「微笑み」、冬桜なら「オリエンタルの神秘」、日本桜草なら「純潔」なのだ。つまり、桜のイメージは生命、幸せと愛が主流になっている。だから、日本のドラマで桜が登場する場面の多くは、純潔な愛と恋の甘みを現す時なのだ。

 南京と東京の春の花は違う。そこで現れた民族精神も違うのだ。違う花で異なった文化が味わえる。それも一種の楽しみではないか。今年は3月末になって、南京の梅の花も東京の桜の花も散ってしまった。また来年、春暖かくなるころ、まず南京に来て梅の花を観賞し、そして東京に行って桜の花を見たらどうだろう。

関連ニュース
写真トピックス
コメント
今週の番組
今日熱点
快楽学唱中文歌
特集ダイジェスト
LINKS