李克強首相は政府活動報告の中で、「われわれはあくまでも平和的発展の道を歩み、新型国際関係の構築を促し、各国と共に、人類運命共同体の構築を進展させるためにたゆまず努力していく所存である」と述べました。

　李首相は「中国はグローバル・ガバナンスの改革・改善に積極的に参与し、開かれた世界経済の建設に注力する。大国との協調・協力を推し進め、周辺諸国との善隣友好と共同発展を深め、発展途上国との連帯・協力を強化する。ボアオ・アジア・フォーラム（BFA）年次総会、上海協力機構（SCO）首脳会議、中国・アフリカ協力フォーラム（FOCAC）サミットなどのホームグラウンド外交をしっかりと展開する。国際的・地域的な緊張・紛争などの解決のために引き続き責任ある大国としての役割を果たす。海外利益安全保障体系を整える」と述べました。

　李克強首相は政府活動報告で「中国は大陸部と香港・マカオとの交流と協力を深めていく」と表明しました。

　李首相は、「中国は『一国二制度』の方針を引き続き全面的かつ正確に実行し、憲法と香港特別行政区基本法に厳格に則って物事をはこぶ。香港とマカオの特別行政区政府および行政長官が、法に則った施政、力強い経済発展、生活の継続的な改善、秩序立った民主の推進、社会の調和の促進を全力で後押しする。香港とマカオが国の発展の大局に融けこむことをサポートする」と……

　李首相はまた、国防・軍隊建設における習近平強軍思想の指導的地位をしっかりと確立し、軍隊に対する党の絶対的指導という根本原則・制度を堅持し、中央軍事委員会主席責任制を全面的に深く貫徹すること、引き続き国防・軍隊改革を推し進め、強固な現代的国境・領海・領空防衛体制を構築すること、国防動員体系を充実させ、全国民国防教育を強化すること、軍民融合発展戦略を踏み込んで実施し、国防科学技術工業の改革を深化させることなどを指摘しました。

　李克強首相は政府活動報告で、「憲法に基づく施政と法律に基づく行政を全面的に推進し、法治政府の建設を急ぎ、政府の機能を全面的に高めていく」との方針を示しました。

　李首相は、「政府活動を全面的に法治の軌道に乗せ、政務公開を全面的に推進する」として、会計監査を強化し、権力を制度の「檻」に閉じ込め、各種の腐敗行為（汚職）を断固として処罰すると述べました。さらに、政府機構の設置と職能配置を合理化し、政府機構改革を深化させ、職責が明確で法に基づく行政が行われる政府ガバナンス体系を形成し、政府の信頼性と執行力を高めることを強調しました。

　李克強首相は政府活動報告の中で、「就職と起業の促進に力を入れる」と強調しました。具体的には、全方位の就職支援サービスの強化、個人所得税の基礎控除額引き上げ、基本医療保険と重大疾患医療費などの特別控除の増加、不動産市場の差別化した管理の実施継続、高齢化対策の積極的な強化、障害者向けのリハビリサービスの強化、社会救済体系と社会信用体系の整備などが挙げられました。また、テロ活動の防止と取り締まりを厳重に行い、インターネット詐欺とインターネットマルチ商法などの際立った問題を解決することで、国家の安全と公共の安全を守ると示しました。

　李克強首相は政府活動報告で、「中国は2018年に輸入を積極的に拡大し、貿易と投資の自由化・利便化を拡大していく」と示しました。

　また、中国が「第一回中国国際輸入博覧会」を開催し、自動車や一部の日用品などの輸入関税を引き下げること、東アジア地域包括的経済連携（RCEP）の協議を早期に終え、アジア太平洋自由貿易圏（FTAAP）と東アジア経済共同体の建設を加速させることを明らかにしました。その上で、「中国は平等な話し合いにより貿易摩擦を解消し、保護貿易主義に反対し、自らの合法的な権益を断固として守っていく」と表明しています。

　李克強首相は政府活動報告で、「今年は、ハイレベルの開放によって質の高い発展を推進していく」と述べました。

　李首相は「中国は、国際的な『大動脈』の建設を推進し、沿線諸国との大通関（通関業務効率化）協力を深め、生産能力をめぐる国際協力を拡大し、西部地区・内陸部・国境地域の開放を強化することによって、『一帯一路』の国際協力を推進していく。また、国際的に普及している経済・貿易ルールとの一致を強化し、一般製造業を全面的に開放し……

　李克強首相は政府活動報告の中で、「2018年に中国は消費の高度化を推し進め、消費の新業態・新モデルを発展させ、供給構造の最適化に対する投資の重要な役割を発揮させていく。また、新エネルギー自動車の取得税優遇政策をさらに3年延長し、新たな重要技術改良・高度化プロジェクトを実施する。民間投資を奨励する政策措置を実施し、鉄道、民間航空、石油・天然ガス、電気通信などの分野において一連の魅力あるプロジェクトを打ち出していく」と述べました。

　李克強首相は政府活動報告の中で、「粤港澳（広東省・香港・マカオ）大湾区発展計画を公布・実施し、大陸部と香港・マカオとの互恵協力を全面的に推進する。また、西部大開発に関する新たな指導意見（ガイドライン）を定め、海洋経済を大きく発展させ、国家の海洋権益を断固として守る」と述べました。

　李克強首相は政府活動報告の中で、「農村振興戦略の大々的な実施のため、政府は計画策定を科学的に行い、都市・農村融合発展の体制・仕組みを充実させて、農業の供給側構造改革を推し進める」と述べました。

　また、「『インターネット＋農業』を発展させ、多様な方法で農民の収入を増やし、農村の給水・給電・情報などのインフラを改善し、20万キロの農村道路を新規敷設または改修する。農村居住環境改善3年キャンペーンを着実に展開するとともに『トイレ革命』を推進していく」と示しました。

　李克強首相は政府活動報告で、「今年は重大リスクの防止・解消、的確な貧困脱却、汚染対策の推進という三大堅塁攻略戦を着実に進展させる」と表明しました。

　李首相は「中国経済の金融リスクは今、全般的にはコントロール下に置かれている。隠れたリスクを効果的に解消するため、政府はシャドーバンキング、インターネット金融、金融ホールディング企業への監督・管理の健全化を図り、金融業へのレギュレーションを一層完備したものにしていく。地方政府の債務リスクを予防、解消するため……

　李克強首相は政府活動報告で、「政府は今年、二酸化硫黄と窒素酸化物（NOx）の排出量を3％抑え、重点地区におけるPM2.5の濃度を引き続き減少させる」と述べた上で、「汚染対策がより大きな効果をあげるため、政府は水質・土壌汚染対策をさらに踏み込んで推し進め、『洋ごみ（外国からの固形廃棄物）』の密輸を厳しく禁じ、生態保護のレッドラインを全面的に画定し、海岸の埋め立てによる土地の造成を厳しく抑制して、環境面での法執行を厳格化していく」と示しました。

　李克強首相は政府活動報告の中で、「今年は貧困人口をさらに1000万人以上減少させ、そのうちの280万人については移住・転居による貧困扶助を完了させる。産業面、教育面、健康面、生態保護面からの貧困扶助を一歩踏み込んで推し進め、インフラ・公共サービスの脆弱部分を補強し、貧困脱却の潜在的原動力を引き出す」と述べました。

　李克強首相は政府活動報告の中で、「わが国は経済のファンダメンタルズが良好であり、政策的手段も多いため、金融面のシステマティックリスクを生じさせないという最低ラインを確実に守り抜くことができる」とした上で、「地方政府の債務リスクを防止・解消するため、法律・規定に違反する各種の起債・保証などの行為を厳しく禁じる。今年は、地方特別債を昨年より5500億元増やして1兆3500億元としている」と述べました。

　李克強首相は政府活動報告の中で「ビジネス環境を一層改善するため、中国政府は2018年に、企業の税負担のさらなる軽減を実施する。年間を通して企業と個人の税負担を8000億元以上減らす。特に、製造業や交通運輸業といった業種の税率を重点的に引き下げ、企業国外所得総合控除政策などを実施する」と述べました。

　李克強首相は政府活動報告の中で、「革新型国家の建設を加速させるため、一連の科学技術イノベーションプロジェクトをスタートし、ハイスタンダードな国家ラボラトリーを整備する。国家レベルの科学技術関連への投資を国民生活の分野へと傾け、スモッグ対策やガンなどの重大疾患の予防・治療の難題を攻略することで、より多くの科学技術の恩恵を人民にもたらせるようにする」と述べました。

　李克強首相は政府活動報告の中で、「新興産業クラスターの増大・増強、ビッグデータ発展行動の実施、次世代人工知能（AI）の研究開発・実用化の強化、医療・養老・教育・文化・スポーツといった多くの分野での『インターネット＋』の推進など、新たな原動力を発展させていく」と述べました。

　また、「インターネット通信速度の引き上げと料金の引き下げにさらに力を入れ、高速ブロードバンドの都市部と農村部での全面普及を実現するとともに、データローミング料金を廃止し、モバイルデータ通信のパケット料金を年内に少なくとも30％引き下げる」と示しました。

　李克強首相は全人代の政府活動報告で、「経済発展の力点を実体経済に置くことを堅持し、引き続き過剰な生産能力の削減、在庫の解消、レバレッジの解消、コストの低減、欠点の補強に着実に取り組み、行政の簡素化や減税、費用の引き下げに力を入れ、ビジネス環境を絶えず改善し、市場主体の活力を一段と引き出して、経済発展の質を高めていく」としました。

　李克強首相は政府活動報告の中で、「人民のパイオニア精神を生かし、各地が地元の実情から出発し、試行錯誤を大胆に行い、難題にも果敢に挑み、改革開放を絶えず前進させていくことを奨励する」と述べました。

　李克強首相は政府活動報告の中で、「今年の財政赤字の対GDP比は2.6％とし、昨年の予算より0.4ポイント引き下げる。財政赤字は2兆3800億元とする。財政赤字の対GDP比を引き下げるのは、主として、わが国の経済が安定的に良好な方向へ向かっており、財政収入増加の基盤があるからである。また、マクロコントロールに政策的選択肢をより多く残すためでもある」と述べました。

　政府活動報告によりますと、2018年のGDP成長率は6.5％前後、消費者物価の上昇率は3％前後、都市部新規就業者数は1100万人以上とし、都市部調査失業率は5.5％以内、都市部登録失業率は4.5％以内に抑えるということです。

　報告はまた、都市部調査失業率は農民工などの都市部常住人口をカバーしていると示し、所期目標にこの指標を初採用したのは、雇用状況をより全面的に反映させ、共有発展の要求をよりよく示すためであると明らかにしました。

　李克強首相は政府活動報告の中で、改革の全面的深化と対外開放の堅持を強調しました。

　李首相は「昨年、国有企業の利潤が23.5％増となり、不動産統一登記制度が確立されたほか、金利規制が基本的に撤廃され、預金保険制度が確立された。また、都市・農村統一の住民基本養老保険制度と住民基本医療保険制度が確立され、農村請負地の『三権（所有権・請負権・経営権）分離改革』が進められて、80％以上の農村請負地の権利が確定した」と……

　李克強首相は政府活動報告の中で、「この5年で、中国の貧困人口が6800万人余り減少した。移住・移転による貧困扶助が830万人を対象に実施され、10.2％の貧困発生率が3.1％にまで下がった。所得の伸び率は年平均7.4％となって経済成長率を上回り、世界最大の中間所得層が形成された。海外旅行者数（台湾・香港・マカオへの旅行者を含む）が延べ8300万人から1億3000万人以上に増えた。社会養老保険が9億人以上、基本医療保険が13億5500万人に行きわたり、世界最大の社会保障網（セーフティーネット）が張り巡らされた。平均寿命は76.7歳に達した」と述べました。

　政府活動報告によりますと、この5年で国内総生産（GDP）は54兆元から82兆7000億元に増え、年平均7.1％伸び、世界経済に占める割合が11.4％から15％前後に高まり、世界経済の成長への寄与率が30％を超えたということです。財政赤字は3％以内を維持しています。

　第13期全国人民代表大会第1回会議が5日午前9時から北京の人民大会堂で始まりました。李克強首相は国務院を代表して政府活動報告を行い、これまでの5年間の政府活動を振り返るとともに今後の活動への提案を行い、大会に提出して審議を受けます。