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秋が深まり、窓の外の紅や黄色に染まった木々も葉を落とし始め、南へ飛んでいく渡り鳥の鳴き声が聞こえる頃になりました。秋の持つ独特なさびしさが湧いてきます。今回の中国メロディーはそんな物悲しい秋の音楽と詩作をご紹介しましょう。
独り西の楼に上る
誰にも声をかけず 独り西の楼に上る 月が細く輝いている
「独上西楼(独り西楼に上る)」は詩人・李煜の名作「相見歓」を基に作られた曲で、秋の物寂しさをよく表しています。
李煜は南唐の最後の皇帝で、君主としての政治能力よりも、文学・芸術の才能の方がはるかに優れていました。彼と周姉妹の2人の美女とのロマンチックな恋物語は今でも歴史学者に話題を提供しています。そして、多くの美しい恋の詩はこの2人の美女との付き合いの中で誕生したのです。
秋の思い
中国の伝統音楽の中には、物悲しい秋を描く曲が多く残されています。「粧台秋思(秋の思い)」はその中の名曲、王昭君の物語をモチーフにした作品です。
漢元帝の時代、北方民族・匈奴との和睦のために、後宮の女性を匈奴の王・呼韓邪単于に嫁がせることになりました。後宮に入ったものの天子の寵愛を受けることがなかった王昭君は、自ら志願し匈奴の王と共に長安を後にし、匈奴の地に赴きました。そんな王昭君を人は、「後宮の悲劇の美女」と呼びました。
秋風の中のあの人
「秋水伊人(秋風の中のあの人)」は1930年代、中国全土で大ヒットした映画の挿入歌。映画の中で、ヒロインが遠方にいる夫を思いながら、この挿入歌を歌うシーンは多くの観客の心を動かしました。「秋の川の水を眺めても、夫が帰ってくる姿はまだ見えない……」劇中、ヒロインを演じた女優・龚秋霞の美しくせつない歌声は多くの観客を魅了しました。メディアは彼女の歌声をもう一人の有名女優の金の喉に対して、銀の喉と讃えました。
1曲目 独上西楼(独り西楼に上る)
南唐の最後の皇帝・李煜が京に幽閉されていた時に作られた詩作「相見歓」をモチーフにしたものです。秋の物寂しさ、後悔や望郷の念を帯ています。
歌詞
誰にも声をかけず 独り西の楼に上る 月が細く輝いている
寂しそうに青桐が立ち 奥の庭に秋が閉じ込められている
思いは切っても切れず 抑えようとしても乱れる
2曲目 粧台秋思(秋の思い)
古代から伝えられてきた曲で、王昭君の運命をモチーフにした作品です。物さびしい秋、故郷を離れた王昭君が鏡台の前で故郷への思いを呟く様子を描いています。
3曲目 秋水伊人(秋風の中のあの人)
1930年代の映画「古塔奇案(古い塔の伝説)」の挿入歌で、ヒロインが遠方にいる夫を思う心を表しました。
歌詞
秋の川の水を眺めても
夫が帰ってくる姿はまだ見えない
夜が更けて
孤独な雁の悲しい鳴き声が聞こえてくる
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