この4月に放送が終了した政治ドラマ『人民的名義（The name of the people）』が、ここ10年間で最高の視聴率を記録したことがわかりました。政府官僚の汚職問題を扱い、真相を追及していくという近年でも珍しい題材の政治ドラマとして話題を呼んでいます。

　中国での大ヒットとともに、海外からも注目を浴びています。英BBCはこのほど、「腐敗事件を大胆に再現」や「検察機関高官のイメージを再構築」などと表現して、同ドラマが中国でヒットした理由についての記事を発表しました。

　同ドラマは、処級（課正職）クラスの官僚が4年間で2億元を収賄した事件や、汚職副市長の米国逃亡事件など実在の事件や幹部の失脚を思わせるような大胆な表現により、「強烈なリアリティ」を与えています。これがヒットした最大の理由とBBCは分析しています。

　また、検察機関高官のイメージが再構築できたことも、ヒットの理由の一つに挙げられるとされています。BBCによると、2004年頃には中国で反腐敗を題材にしたドラマが数多く制作されましたが、内容の重複やクオリティの低下などを理由に、制作制限令が出されるほどでした。その後、10年間姿を消した反腐敗ドラマですが、2012年に反腐敗運動の展開に伴い、関連のドラマが再び制作されるようになったとのことです。『人民的名義（The name of the people）』はこういった中国の時代背景を反映するものとも見られています。

　『人民的名義（The name of the people）』

　監督：李路（リー・ルー）　

　脚本：周梅森（ジョウ・センメイ）

　回数：全55話（1話約50分）　

　放送期間：2017年3月28日 – 2017年4月28日

　出演：陸毅（ルー・イー）　呉剛（ウー・ガン）　許亜軍（シュー・ヤージュン）　胡静（フー・ジン）　張志堅（チャン・ジーチェン） 李光復（リー・クアンフー）ほか

　エンディングテーマ：『以人民的名義』　唄：韓磊（ハン・レイ）＆江映蓉（ビビ・ジャン）

　挿入曲：『誓如當初』　唄：許鶴繽（シュ・ホビン）

　ストーリー：急速な経済成長を遂げた京州市という中国の架空の都市が舞台。

　陸毅（ルー・イー）演じる反汚職総局の若き局長・侯局長が、検察官である親友の不審な事故の謎を追うため京州市に赴任します。複雑な人間関係を持つ役人たちの中、いったい誰が悪の黒幕なのか…。

　（ミン・イヒョウ、謙）