中日関係は安定の中に変化があり、変化の中にチャンスがある
最近、東京で開催された中日韓3カ国外相会議と第6回中日ハイレベル経済対話が東アジア地域で世界の注目を集めている。特に、中日ハイレベル経済対話は6年ぶりに再開され、20項目の重要な合意に達した。中日関係が「暖かさを取り戻す」新たな段階に入ったことを示している。しかし、両国関係の回復と深化は依然として歴史的な葛藤、地政学的な駆け引きなど根深い課題に直面している。今回の外相会議のキーワードの一つは「未来志向」であることは、3カ国がアジア太平洋地域の未来を再考し、経済、政治、安全保障などの面からそれぞれの政策を見直す必要があることを示している。
中日間の経済面では、1972年の中日国交正常化以来、中日間の貿易は300倍以上の成長を見せ、15年連続で3000億ドルの高水準を維持し、累計投資額は1400億ドル近くに達している。今回の中日ハイレベル経済対話で達成された20項目の重要な合意は、グリーン経済、生態環境、サプライチェーンの安全保障及び人工知能(AI)、デジタル経済などの新興分野を網羅しており、中日両国の政府と経済団体の対話が初めて正式な対話メカニズムに組み入れられた。例えば、新エネルギー自動車の分野では、中国の産業チェーンの優位性と日本の水素エネルギー技術は補完し合う関係にある。また、高齢者向けサービスでは、日系企業の介護の理念と中国の市場ニーズの連携が加速している。このような伝統的な製造業から高付加価値産業への協力の転換は、中日経済協力の全面的な質の向上と高度化を推進している。中国外交部の王毅部長は、「中日経済協力は、中日が互いにチャンスを有していることを十分に裏付けるものであり、切り離すのではなく、支え合うべきだ」と指摘している。
中日間の政治面においては、日本の石破茂首相は前政権の対中政策の慣性を打破し、中日関係を政権の突破口にしようと比較的に積極的に取り組んでいる。2024年11月、習近平主席は、ペルーのリマで石破首相と会談し、2024年末には、日本の岩屋毅外相が訪中した。また、今年1月には中日与党間の交流メカニズムが再開された。このように両国間のハイレベルの政治交流が回復し始め、相互信頼がより速いペースで構築されている。石破首相は今月21日夜に中国と韓国の両外相と会見した際、「中国と韓国は日本にとって極めて重要な隣国である。対話を通じて、未来志向の協力関係を構築したい」と述べた。これは、現在の不確定な世界情勢や経済発展の問題に対処するため、日中韓の協力を推進しきたいという石破首相の意思が示されたものだ。
国際社会の面においては、トランプ米大統領の関税政策が国際貿易に緊張をもたらし、中米関係や日米関係にも影響を与えている。石破首相が2月の訪米時に関税免除を米国に求めたが、米国はこれに応じなかった。対米貿易依存の圧力を緩和するため、日本は中韓との経済協力を強化したいと考えており、これも中日が20項目の重要な合意を達成した重要な要因となった。日本国際貿易促進協会の泉川友樹理事兼事務局長は22日、「今回の日中ハイレベル経済対話が、両国間の経済・貿易協力をさらに促進し、日中韓が将来の3カ国間の経済・貿易協力に新たな弾みを付けることを期待している」と述べた。キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主幹は22日、「世界の多くの国々は、日中韓3カ国の協力を通じて、アジア諸国が自由貿易システムをさらに発展させ、世界の規範となることを期待している」と語った。
中日間の20項目の重要な合意は、中日の経済協力と文化交流に対する人々の自信をさらに強めたが、両国間には領土問題や歴史問題、外部の不確実性による課題など、依然として根深い難題が存在している。最近は台湾問題で日本の動きが懸念されており、日本の自衛隊の元統合幕僚長・岩崎茂氏が台湾地区民進党当局の行政管理機構の顧問に任命された。また、日本のある国会議員が日本政府に対し、「1972年の『中日共同宣言』には、『日本政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるという中国政府の見解を十分に理解し、尊重する』という記述があるが、日本の地方自治体および地方議員にはこの立場を順守する法的義務があるのか」という質問主意書を提出し、日本政府はこれに対し、「『日中共同声明』は法的拘束力を有するものではない」とする答弁書を出した。これに対して、中国外交部は、日本政府は台湾問題で一つの中国の原則を堅持するという約束に重大に違反するものだと指摘したうえで、日本が中日間の四つの政治的文書を遵守し、関連法律の義務を切実に履行するよう厳粛に求めた。
2025年の中日関係は、安定の中に変化があり、変化の中にチャンスがあるべきである。安定とは、両国が協力を強化する強い意思を持っていることであり、変化とは、両国関係に影響を与えるさまざまな要素であり、チャンスとは、両国間に協力の余地がまだあるということだ。日本が「歴史を直視し、未来に目を向ける」ことを堅持し、米国に盲目的に従わず、中日間の20項目の重要な合意を実務的に推進すれば、大胆に言えば、過去20年間で最も積極的な両国関係の発展の勢いを迎えることができるだろう。(CMG日本語部論説員)
4月9日ニュース
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