【北京冬季五輪 街角だより】スキーチューンナップ職人・馮霄さん

2022-01-26 19:30  CRI

 第24回オリンピック冬季競技大会は2022年2月4日から20日まで、第13回パラリンピック冬季競技大会は3月4日から13日までの日程で、北京市と河北省張家口市の3つのエリアを舞台に開催されます。このコーナーでは、冬季オリンピックとパラリンピックを迎える街で暮らす人々にフォーカスします。

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日本に学んだ「匠のこころ」でチューンナップの達人をめざす

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期間限定ウインタースポーツ体験パビリオン「有間氷雪館」・入口の様子

 冬季オリンピックを2週間後に控えた21日、北京市内の商店街に3日間限定のウインタースポーツ体験パビリオン「有間氷雪館」がオープンしました。

 会場の一角で目にとまったのは、ワックスやスクレーパー、ブラシに糸ノコギリなどの道具を並べた台にスキー板を立て、エッジのサビ取りをする職人の姿です。頭巾にエプロン、手にはエッジシャープナー。そして粉じん防止用のマスクを着用しています。

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有間氷雪館でチューンナップの実演をする馮霄さん

 彼の名前は馮霄(ひょう・しょう)。北京生まれの43歳で、友人が経営する北京市内のスキーショップにチューンナップコーナーを構える、プロの職人です。

 今はこの仕事に専念していますが、以前は夏にコーヒー・フェアを開催したり、冬に青少年向けのスキー教室やスキーイベントを開いたりするなど、複数の仕事を掛け持つ、いわゆる「スラッシュキャリア」でした。

 そんな馮さんのスキー初体験は1997~98年、高校生のころでした。北京にスキー場ができる前だったので、初めてのゲレンデは張家口崇礼の「塞北スキー場」でした。

 「その時は遊び半分でした。そのうち本格的にスポーツとして取り組むようになって、速く滑る方法を考えるようになり、板のメンテナンスも大事だということに気づきました」

 北京に人工スキー場が現れたのは2000年以降と遅めでしたが、その後は冬季オリンピックの招致が追い風となって、北京をはじめとする中国のスキー人口の増加は一気に加速しました。中国のスキー・スノーボード人口は2014年の1000万人前後から、2020年には約2000万人にまで増えています。

 これに伴い、マイスキー・マイボードを所有する人も増え、チューンナップサービスの需要が高まりました。馮さんがチューンナップ技術を学んだのは、師と仰ぐ中国人から。師匠は日系ワックスメーカーで修行した経験があり、馮さんは彼から習う技術を通して日本の「匠のこころ」に感銘を受けたと言います。

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記者にチューンナップを説明する馮霄さん

 中国が日本から学んだのはチューンナップ技術だけではありません。馮さんは両国の関係性について、次のように感じています。

 「日本ではスキーとスノーボードが広く普及しています。ですから中国は、人材育成、スキー場の設計・開発、スキーリゾートのサービスなど、多くの面で日本から学びました。プロの選手も、スノーボードの蘇翊鳴など、多くが日本での特訓を経て成長しています。同じアジア人なので、技の習得においては日本の技術がたいへん参考になっています」

 馮さんの話では、ここ2~3年のトレンドとして、スキーとスノーボードどちらの練習者も増え続けているそうです。以前は25歳~30歳がメインでしたが、今では4歳から60代までと幅が広がっています。

 「特に、女性や子どもが増えたことが印象的です。それから、インストラクターをつけたり、試合に参加する人の数が総合的に増えていますね。スキー・スノーボード人口拡大の背景には、国家が掲げる『ウインタースポーツ人口3億人目標』『全民健身運動』(スポーツによる健康づくり)などの政策の成果もありますが、最大の要因は暮らしの改善で余裕が生まれたことだと思います」

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有間氷雪館の中の様子

 様々な仕事を経験してきた馮さんがチューンナップ職人の道に専念することを決めたのは2年前のこと。その決断の理由について尋ねると、

「中国には大きな市場があるのに、プロのチューンナップ職人を目指す人が少ないです。私は日本のような『匠のこころ』をめざして、この道で一芸に秀でた人間になりたいのです」

 そして、将来を見通すように、「(この分野は)とにかくすべてが良い方向に向かっていますから」と力強く付け加えました。

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チューンナップ職人の馮霄さん

■チューンナップ職人の馮霄さんに聞きました!【北京冬季オリンピックの注目ポイント】

 今回のオリンピックは中国の実力が証明される大会になると思います。

 私が見たいのは、何と言っても雪上競技ですね。特にスノーボードで、スキーならフリースタイルです。ハーフパイプとビッグエアに興味があります。

 以前、スキー・スノボ情報をネット配信していたことがあって、その時に取材した選手たちに[UK1] 注目しています。中国なら蘇翊鳴(スー・イーミン)、谷愛凌(アイリーン・グー)、蔡雪桐(ツァイ・シュエトン)です。あとはアメリカのショーン・ホワイト(Shaun White)、カナダのマーク・マクモリス(Mark Mcmorris)、マックス・パロット(Max Parrot)、ノルウェーのマーカス・クリーブランド(Marcus Kleveland)です。それから、日本の平野歩夢と戸塚優斗にも期待しています。

 北京冬季オリンピックを楽しみにしています!

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有間氷雪館の近くの街角を飾る2022年北京冬季五輪公式マスコットの「氷墩墩(ビンドゥンドゥン)」(左)と
北京パラリンピック公式マスコットの「雪容融(シュエロンロン)」(右)

(取材&記事:王小燕、校正:梅田謙)

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