中国初の慰安婦を題材にした長編ドキュメンタリー映画『二十二』。8月14日に全国で封切りされて以来、大反響を呼んでいます。郭柯(グオ・カー)監督が5年間かけて制作した力作で、第二次世界大戦中に慰安婦となった中国大陸出身の女性22人の現在の暮らしぶりを記録したものです。すでに亡くなった人を含め、22人全員が実名で登場し、心境を語っています。全編にわたりインタビューで構成され、ナレーションも過去の映像もなく、エンディングのみ音楽を流すというシンプルな作品ですが、国産ドキュメンタリーとして初めて興行収入1億元の大台を突破しています。
資料によると、第二次世界大戦中に慰安婦となった女性の数は約20万人に上るということです。戦後70年余りが経ち、生存者の数も減り続け、今や22人のみになりました。郭監督は以前に、元慰安婦32人を取り上げた短編映画『三十二』を制作しており、取材の中で大きな感銘を受けながら、証言のできる元慰安婦の数が減っていくことに無念を感じ、健在だった22人の生活を記録するために、今回の「二十二」の制作を決意しました。撮影中も一人また一人とその数が減り、今年8月のロードショーの際にはわずか8人のみとなっていました。
映画専門誌『看電影』の阿郎編集長は「口に出せない時代もあったが、歴史の傷口はずっと残っている。この映画がなければ、つらい歴史が時間とともに風化してしまうだろう」と話しました。
郭監督は、「クランクインまでは、インターネットやニュースで得た知識しかなかった。元慰安婦は、涙に暮れ、憎しみに満ちた人生を送っていると思っていたが、実際に触れあっていくうちに、生身の人間なんだといった印象を受けた」と言いました。落ち着きぶりや強さに心を打たれてしまった様子でした。
映画は、声を枯らして訴えたり、激しく争い合ったりするシーンはなく、きわめて冷静につらい歴史を再現しています。
上海師範大学の蘇智良教授は「少しでも多くのプロデューサーが民族の歴史に目を向けてほしい。特に若者たちは映画館に足を運び、戦争の傷口に触れてほしい。今の平和を大切にし、過去、現在そして未来をつなぎ、個人や民族、国をつなぐことができるはず」と語りました。(ミン・イヒョウ 森)
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