北京
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<シリーズ記事①は下記リンクからご覧いただけます。https://japanese.cri.cn/20190322/7e28c79c-d04b-b79f-48b2-3099aeaed6dd.html>
中国でこれまでに一般公開を果たした「日漫電影」(日本のアニメ映画)トップ10のうち、4本がドラえもんの大長編で、その合計興行収入は10億元の大台に迫っています。ドラえもんは、中国で最も人気のある日本のキャラクターと言っても過言ではありません。
ドラえもんの漫画が中国で初めて出版されたのは1980年代のこと、当時のタイトルは「機器猫(ロボットネコ)」でした。当時、「漫画は子供の読み物」という先入観があった中国では、子供の間でしか人気が出ませんでした。しかしその後、1991年からアニメのテレビ放送が始まると、テレビが主要メディアの時代であったことも追い風となって、幅広い層に「ドラえもん」が知れわたるようになり、ファンが増えていきました。
「ドラえもん」の中国語訳は、80年代から90年代にかけて「機器猫(ロボットネコ)」や「小叮当(首につけた鈴の音から“シャオディンダン”)」などが浸透していましたが、中華圏で統一しようとの呼びかけにより、ここ10年で音訳から生まれた「哆啦A夢(ドゥオラーエイモン)」が定着。80年代から90年代は、中日両国の文化交流はまだ始まったばかりであったため、ドラえもんの漫画とアニメを通して、日本の家庭のあり方、学校の様子、社会、スポーツ、音楽などの生活に初めて触れることになり、日本の魅力を感じたという中国人が大勢いました。特に、中国の若い世代にとっては、あこがれの存在でもありました。漫画やアニメの影響で、ドラえもん人気はすぐさま中国全土に広がり、ドラえもんの関連グッズも発売されるように。そして、現在も変わらず根強い人気を誇っています。
中国での劇場版ドラえもんの初公開は2007年7月、日本でその前の年に公開された『ドラえもん のび太の恐竜2006(にいまるまるろく)』(2006)でした。
ドラえもん のび太の恐竜2006(中国題:哆啦A夢:大雄的恐龍)
それ以来、2008年1月に『ドラえもん のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜』(2007)が、2009年8月には『ドラえもん のび太と緑の巨人伝』(2008)と公開が相次ぎ、劇場版の中国公開は3年間続きました。
ドラえもん のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜(中国題:哆啦A夢:大雄的新魔界大冒険之7個魔法師)
ドラえもん のび太と緑の巨人伝(中国題:哆啦A夢:大雄与緑巨人伝)
その後、中日文化交流の低迷を受けて、「ドラえもん」の劇場公開は2010年からしばらく中断されていましたが、5年後の2015年に復活を遂げます。シリーズ初の3D劇場版『STAND BY ME ドラえもん』が2015年5月28日に中国大陸で封切られました。「ドラえもん」シリーズとして6年ぶり、日本映画の一般公開としては、2011年11月に公開された『名探偵コナン 沈黙の15分』以来、実に3年半ぶりとなりました。この作品の初動記録は2億4000万元(約47億円)で週間ランキングのトップに立ち、最終興行は5億3千万元(約100億円)を計上しました。公開からわずか11日間で日本での最終興行収入83億8千万円を驚異的なスピードで超えるなど、中国でのドラえもん人気を再確認させられる結果となり、中国で公開された日本映画として一里塚とも言える1本となりました。
STAND BY ME ドラえもん(中国題:哆啦A夢:伴我同行)
2016年からも、ドラえもんの劇場版は中国で毎年1本のペースで公開され、いずれも1億元以上の興行成績を上げています。また、映画だけでなく、ドラえもんをモチーフとした展示会なども、毎年のように中国で開催されています。近年、中国ファンの間では「藍胖子(青いおデブちゃん)」との可愛らしいあだ名までつけられたドラえもん、今後も友好の使者として中日文化交流の第一線で活躍してくれることでしょう。(ミン・イヒョウ 梅田謙)