IAEA・国際原子力機関の理事会は11日ウィーンで、イランがウラン転換作業を再開したことに「重大な懸念」を表明し、「すべてのウラン濃縮関連活動の即時中止を求める対イラン決議案を全会一致で採択しましたが、イラン核問題を国連安保理に提出することに言及しませんでした。

　この決議案は国際原子力機関がこのほどイランに封印解除されたウラン転換施設に改めて封印することを許可するようイラン側に求めると同時、ＮＰＴ・核拡散防止条約の保障監督協定に従いイランの履行状況の総合報告を提出するようエルバラダイ事務局長に指示しました。決議案は「今、イランがその核プロジェクトと関連活動を隠すかどうかについて国際原子力機関は結論を下すことができない。そのため、イラン核開発計画などの未解決問題を引き続きはっきりさせる必要がある」と指摘しました。

　この決議案はEU・欧州連合と国際原子力機関理事会の加盟国、特に非同盟諸国間で交渉し、互いに妥協した結果です。エルバラダイ事務局長は決議案を採択した後、「イラン側がその立場を改めて考慮することを期待し、イラン核問題解決の唯一の選択は交渉であるからだ」とした上で、「イランのウラン転換作業の再開によってもたらされた危機を話し合いで解決する可能性はまだある」と強調しました。

　一方、イラン側はこの非難決議案を拒否し、この決定に憤慨を感じています。イランの国際原子力機関駐在代表・ナセリ氏は「イランは外部からの圧力に屈服せず、引き続き自分の道を歩んていく」との姿勢を表明しました。

　ヨーロッパのマスコミは「この決議案の言葉遣いは予想されたほど厳しくない」と見ています。これは理事会の多数メンバーが言葉遣いの厳しい決議案に反対したからです。また、これまでの長い間、欧州連合は一貫してイラン核問題を話し合いで解決することを強調し、アメリカの強硬な政策に反対しています。欧州連合はイランとの平和交渉を徹底的に中断すれば、その長期的な外交努力が失敗したと意味することが分りました。欧州連合は今のところイラン核問題が制御できなくなる局面となることを望みません。

　関係者はイラン核問題の本質はアメリカとイランの力比べであると見ています。今、アメリカはイラクとアフガニスタンで戦争が泥沼に陥っているため、イランを刺激したくありません。今、イランはIAEAの決議案通りに進めることは難しく、イランと欧州連合及びアメリカとの更なる抵抗はどうしても避けられません。しかし、現状からみればイランと欧州連合は交渉のドアを閉じずに、双方がまだ融通をきかす余地が残っています。