イラン内務省は18日夜、大統領選の初回投票結果を発表し、ラフサンジャニ前大統領とアハマディネジャド・テヘラン市長がそれぞれ21%と19%の得票率を得て、他の候補者を引き離しています。しかし、大統領当選に必要な過半数の得票を獲得する候補はいなかったため、イランの憲法に従い、上位二人が24日、決選投票を行い、大統領の座を競い合うことになっています。しかし、どちらが勝利を得るのか、現在のところ、まだ予測がついていません。
最初の投票前に行われたアンケート調査では、ラフサンジャニ氏が、各機関とも一致して当選が見込まれていたのに対し、アハマディネジャド・テヘラン市長は注目する存在ではありませんでした。そのため、彼は第1回目で19%の得票率で決戦投票に進出したことは、番狂わせと言えるでしょう。
アハマディネジャド氏は保守派の代表的人物で、イスラム政府の設立を主張し、イラン最高指導者のハメネイ師に才能を見込まれています。選挙期間中、アハマディネジャド氏は当選後、高齢者、貧困者など社会的弱者の利益を重視するほか、外交政策において、イランは国際社会の圧力に耐え抜き、独自の核技術を有すべきだと主張しています。アハマディネジャド氏の政治的主張には保守派の烙印が押されており、その支持者は宗教信仰の厚い貧困階層が中心を占めています。しかし、関係筋は、現実派のラフサンジャニ氏との決勝ラウンドでは、彼は劣勢な立場に置かれると見ています。
ラフサンジャニ氏は1989年から1997年まで、イランの大統領に就任し、今はイラン最高評議会議長を務め、豊富な政治経歴を経験しています。大統領就任の8年間で、ラフサンジャニ氏は、現実な的政策を実行し、保守派の支持を得ていると同時に、穏健な開放的立場をとり、経済発展に力をいれていました。また、外交において、アメリカを含めた西側諸国と対話を続け、イランの経済と社会発展を促しました。
今回の選挙活動では、7名の候補者はいずれも「イラン核問題」と「アメリカ」を切り札にし、当選後イラン核問題により引き起こされた逼迫した情勢を解決する能力を持っていることと、イランの外部環境の改善を相次いで表明しました。しかし、この二つの面において、ラフサンジャニ氏の主張はより多くの支持を得ています。
ラフサンジャニ氏は、「もしアメリカが本気でイランとの協力に乗り出しているならば、今こそ二国間関係をスタートさせる新たなページだ」と述べました。彼はもし自分が当選すれば、より穏健な政策を打ち出し、これはアメリカに対しても同様であると語っています。これらの主張はイランがアメリカを始め、西側諸国との関係改善を求め、保守派勢力がイランを国際社会から隔離しているやり方に不満を感じる青年層を強く引き付けています。
最近、イランとEU・欧州連合の核協議が長引き、アメリカは時たまイラン核問題を国連安保理に提出して議論に出すと脅し、イランは国際的制裁の危険にさらされています。イラン原子力機構の代表は大統領選の最初の選挙で、「イラン核問題の行き詰まりを打破できる能力を持つ適切な人選」として、ラフサンジャニ氏を支持しています。この態度表明は、選挙民の心理に暗示的役割を果たしたに違いありません。
一方、アハマディネジャド氏もラフサンジャニ氏も、最初の投票前に、国内経済の発展、アメリカ及び他の西側諸国との関係改善を主張し、と同時に、イランが核兵器開発の権利を保有することを堅持していました。世論は、大統領選の決戦投票の結果は予測し難いものですが、どの候補が当選したにせよ、内政と外交で改革を行い、一部の原則的問題で引き続き現行政策を受け継ぐと見られています。また、イランのハラズィ外相が19日、記者会見でイラン外交政策の基礎はイスラム共和国の原則であり、新しい大統領の登場により変わることはないと強調しました。
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