パレスチナ自治政府のアッバス議長は、9日、ガザ地区でパレスチナ武装勢力各派の代表と会見し、パレスチナ・イスラエル停戦協定の維持で合意に達し、逼迫していたパレスチナ・イスラエル情勢の緩和に条件を作り出しました。
アッバス議長は、パレスチナ・イスラエル情勢が連日、緊張が高まり、停戦状況の維持がたいへん危険となってきたことを背景にガザ地区入りし、各派とそれぞれ会談を行ったものです。7日、イスラエル軍兵士がジェニンでパレスチナイスラム聖戦組織・ジハードの高級指揮官を殺害したのを受け、ジハードは報復行動に走り、ガザ地区のユダヤ人入植地を砲撃し、3人の死者を出しました。パレスチナイスラエル抵抗運動・ハマスも同じ日、イスラエル南部地区とガザにあるユダヤ人入植地を激しく砲撃しました。パレスチナとイスラエルの激しい武力衝突は各方面から厳重に注意が払われ、関係筋は、パレスチナとイスラエルの停戦状態が崩壊する危険にさらされていると驚きを禁じていません。
情勢の更なる悪化を防ぐため、アッバス議長は8日、ガザ入りし、パレスチナ各派と接触をはじめています。
9日、アッバス議長はガザでイスラム抵抗運動・ハマスをはじめ、各武装勢力とそれぞれ会談を行いました。アッバス議長は、パレスチナとイスラエルの停戦状態の維持はパレスチナの根本的利益に合致していると強調し、武装勢力の各派に停戦協定を守り、イスラエルにパレスチナ攻撃の口実を与えないよう、イスラエルを標的とするすべての行動を取りやめるよう求めました。アッバス議長はまた、パレスチナ各派にイスラエルのガザ地区撤退の準備作業にかかわることに同意しました。
会談後、ハマスのスポークスマンは、「パレスチナ・イスラエル間の停戦協定を引き続き守っていく。しかし、もしもイスラエル軍の攻撃にあった場合は、反撃を加える権利を保留する」と表明しました。一方、パレスチナ聖戦組織・ジハードの指導者は停戦協定を一時的に遵守することを表明したものの、「パレスチナ各派はイスラエル側が絶えず停戦協定に違反している情勢の下で、今後は引き続きこの立場を保つかどうかを考え直すべき」だと呼びかけています。
今年2月、パレスチナとイスラエルが停戦協定で合意して以来、双方の情勢は全般的に平穏さが保たれています。しかし、イスラエルはパレスチナ武装勢力への掃討を止めておらず、パレスチナ武装勢力もイスラエルを標的とする砲撃行動は停止していません。最近、双方の武力的衝突が高まる傾向にありますが、双方は情勢の沈静化の維持に努めています。
イスラエル政府筋は、ハマスが7日、イスラエルを砲撃したのは、アッバス議長がパレスチナ評議会の選挙を遅らせたことへの不満から来たものだと見ています。そのため、アッバス議長がこの度、パレスチナ各派との会談を行い、意思疎通をしたことは、たいへんタイムリーなもので、パレスチナ・イスラエルの平和維持にとって重要な試みだったとしています。
パレスチナ・イスラエルの情勢の発展に伴い、パレスチナ武装勢力とイスラエル軍の衝突は更にエスカレート化するかどうかは、現在のところ、まだ予測できません。
現在、パレスチナの内部には、「パレスチナ武装勢力が新たな武力襲撃に出ることを防ぐため、イスラエルはガザ地区を撤退する前、まとまった規模の軍事行動を取り、パレスチナ武装勢力に厳しい打撃を加える」との懸念の声があがっています。
一方、イスラエルは自制する態度を示すと同時に、イスラエル軍のハルツ参謀総長は7日、「イスラエルの忍耐力は小さくなってきている」と警告しました。
アッバス議長がパレスチナ各派との会談が行われた後のパレスチナ・イスラエル情勢が果たして平穏さが保たっていけるかどうか、まだしばらく様子を見る必要があります。
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