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中国の国産アニメ・漫画、今は乳離れの時期

2013-06-21 10:16:53     cri    

 2013年6月14日、先月31日に中国で初日を迎えた中国の国産アニメ「潜艇総動員3」は6月1日の国際児童デーの期間も、まずまずの興行成績を記録した。しかし、すでに公開して1カ月を超えるドリームワークスのアニメ映画「The Croods(原題)」(中国名:瘋狂原始人、日本公開未定)の成績と比べると、どうしても見劣りする。すでに興収3億元(約46億4100万円)を突破した「The Croods」は、あまりの人気に6月下旬まで上映期間の延長が決定された。映画を見終わった後、映画館から話しながら笑顔で出てくる子供や保護者たちの中には、「いつになったら中国もこのような素晴らしいアニメを撮れるようになるのか?」と思わず口にしてしまう人も多かった。人民日報が伝えた。

 業界の関係者や専門家による包括的な分析によると、中国の国産アニメ・漫画が立ち遅れている要因には、▽さまざまな技術・設備の不足、▽産業チェーンの不整備、▽徹底されていない著作権保護、▽人材の不足などといった点が挙げられる。しかし、このほかにも無視できない要因がある。それは、中国政府の過度な支援や保護政策が、もしかすると国産アニメ・漫画からチャレンジ精神を失わせているかもしれないという点だ。

 近年、中央政府が地方政府に対して公布した国産アニメ・漫画に関する政策措置を調べてみると、その他の文化産業とは比較にならないほど、中国政府による国産アニメ・漫画に対する手厚い支援に誰もが気づく。中国共産党第17期中央委員会第6回全体会議の「文化体制改革を深化させ、社会主義文化の大発展・大繁栄を推進させるためのいくつかの重大問題に関する決定」や「国民経済と社会発展第12次5カ年計画綱要」、「『十二五』(2011年から2015年までの第12次5か年計画)期間についての文化改革発展計画綱要」は、いずれも国産アニメを重要なプロジェクト内容として捉え、その中で明記している。

 税収の面でも具体的な優遇措置を採択し、財政部(財政省)など関連部門は特別に国産アニメ・漫画産業の発展を推進するためにいくつかの案を制定している。文化部(文化省)など十数部門の委員会はアニメ・漫画聯席会議を設立し、足並みを揃えて国産アニメ・漫画を支援している。このような措置は文化分野においては非常に珍しいものだ。一部の地方政府ではアニメ・漫画企業を現地で設立した場合、3年間免税される優遇措置を受けられる上、高い新技術を誇る企業と同様に、用地や設備、人材などを引き入れる場合などにも優遇措置が受けられるように規定されている。これらの政策措置は共産党と政府の国産アニメ・漫画への重視や幅広い青少年に対する極めて高い関心・保護を示しており、同時に、国産アニメ・漫画を急速に発展させている。国産アニメの製作量は、「第11次5カ年規画」(2006-2010)時には22万分、2011年には27万分に達し、現在、世界首位に立っている。

 しかし、これらの政策は実行される際に、アニメ・漫画の質ではなく、量に重きが置かれることが多い。例えば、ある地方政府は、現地で製作されたアニメ・漫画がテレビ局で放映されるだけで、長さに応じて補助金が支給されると規定しているため、結果的に一部のアニメ・漫画企業は政府の補助金を獲得するためにわざとアニメ・漫画の長さを伸ばし、1000話を超えるテレビアニメを製作する。深夜の誰も見ないような時間帯にこういったアニメを放映しても、同じように補助金が得られることになる。このほかにも、政策の支援の下、各地方にアニメ産業園区が建設され、全国にすでに100を超える似たようなアニメ・漫画祭やアニメ祭、ゲーム祭などが開催されている。表面的には繁栄しているように見えても、これは目の前の利益だけを求める気持ちや行動の現われでしかない。例えば、まるで他作品のコピーのようでありながら1200万元(約1億8556万円)で撮影した「巨編」も、キャラクターイメージからシーンに至るまで、その内容が何かのパクリと疑われても仕方のない「力作」なども、多くのアニメファンを深く失望させている。

 国産アニメ・漫画と比べると、映画・テレビ業界や出版業界は、このような政策上の優遇措置はあまり多く受けていないが、非常に健闘し、過去10年間にわたって急速に発展・進歩してきた。国産映画の興行収入は続けざまに新記録を更新し、中国は世界第2位の映画市場に成長したほか、出版業界も産業増加値が1億6000万元(24億7400万円)を突破した。テレビドラマも高度成長を遂げ、アフリカでは家で中国ドラマを見るために、町中は人影がまばらというほどのブームを巻き起こした。これらの文化業態の成功の原因を総合的に分析すると、政府の支援や保護による功績はもちろん無視しがたいものはあるが、否定できないのは、あらゆる分野で比較的早期に徹底的な市場化改革を行ったことだ。政府が過度な支援政策を採らず、関連分野の市場競争は比較的規範的かつ熾烈だったことだ。これらの文化業態は最終的にいずれもある種の法則に沿って、発展の道を歩むことになり、中には株式上場を達成する企業も現れた。

 アニメ・漫画企業を逆の観点からみると、政府から補助金やプロジェクト、優遇措置が過剰に与えられているため、結果的に企業は資金を手に入れることはできたが、観客の期待に応えるような優秀なアニメ作品は市場から姿を消してしまった。質が高くない作品でも生き残れるため、アニメ・漫画企業は本当の意味で観客や市場を重視することが難しくなってしまった。この調子でいけば、アニメ・漫画企業の向上心は必ず失われ、ひいては業界自体が消滅してしまうだろう。そのため、国産アニメ・漫画は徐々に政府からの乳離れが必要な時期に来ていると言える。さもなければ、常に政府の胸に抱かれて母乳を与えられたままで、いったいいつ独り立ちできるというのだろう?「人民網日本語版」より

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