一方、開会式の時刻が近づいてくるのにつれて、北京の大通りにはもともと少なかった通行人が、また一段と減ってきました。その代わり、家でテレビに釘付けになる人が増えました。
万寿路近くの高層団地の14階には、劉振ギョクさん(71歳)一家8人が揃いました。今日は、二人の娘も家族を連れて実家に戻ってきています。
劉さんも奥様も北京っ子で、家族そろって、中国の伝統的な玩具・空中ゴマ(「空竹」)の愛好者です。7年前の2001年7月13日も、こうやって一家そろって、五輪誘致の結果発表のテレビ中継を見ていたそうです。当時、劉さんは崇文門付近の胡同の四合院に住んでいました。北京の誘致成功が発表されてから、家族で巨大な空中ゴマを手に、天安門広場にかけつけ、空竹を回しながら祝いました。
時刻が8時を過ぎると、絢爛豪華な開会式が始まりました。中国の古典文化がフルに生かされた演出に、一家は歓声を挙げながら、テレビに見入りました。
「東洋の文明と西洋文明の対話です。中国の歴史や文化を凝縮して世界に見せるよいチャンスです。発展している中国、活力があり、元気のある北京と中国の姿を世界に見せたいのです」。
長女の劉華さんが五輪の開催に寄せる期待を語りました。
24時5分頃、神秘のベールがめくられ、五輪の聖火が元体操選手の李寧さんのリレーで、赤々と点火されました。北京の上空には一斉に花火が打ち上げられ、その瞬間、北京放送のオフィスの中も大きな拍手が沸き起こりました。
夢が現実になったオリンピックの16日間が、これで正式に幕開けとなりました。
期待がふくらみます。(文:王小燕、写真:王小燕、黄恂恂)
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