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日本華人教授会議代表・朱建栄氏に聞く

2008-11-30 16:19:48     cri    

日本華人教授会議代表、東洋学園大学教授・朱建栄氏に聞く

写真=温家宝首相が四川大地震の被災者を慰問する様子





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 両国関係の視点から見た今回の大地震の影響について、日本華人教授会議代表で、東洋学園大学教授の朱建栄氏に話を聞きました。

 ■中国政府と社会の大地震対応を評価

記者 洞爺湖サミットで北海道入りした中国の胡錦涛主席は、7月8日、日本の国際緊急援助隊の救助チームと医療チームの代表と会見し、感謝の意を伝えたことは、両国にそれぞれどなメッセージをこめたものだったと見ていますか。

朱 胡錦涛主席の会見は、中国国民、政府が日本に対する支援に対して感じた思いを素直に表したものです。また、中国は日本を重視していること、日本はただの経済大国だけではなく、様々な技術やノウハウをもっており、他人を助ける精神をもっている国でもあると評価していることでもあります。こうした評価は、中国国内の対日感情の改善に寄与できると思います。また、中国と日本の今後の防災協力に一層期待しているというメッセージも込められているのではないかと見ています。

記者 振り返ってみますと、今回の四川大地震の対応で、中国政府や社会の反応で印象に残ったことは?

朱 温家宝首相は地震発生2時間後に、現地へ赴き、政府の対応の早さが注目されます。何よりも、外部の今までの中国イメージを一変させたのは、中国のテレビなどの報道です。CCTV(中国中央テレビ)や現地ローカル局の24時間生放送で、現地での救援活動の様子をありのままに報道しました。

 その影響もあり、延べ137万人のボランティアが現地に向かったということを聞きました。また、現地に行っていない一般市民も、献血などをして、自分の気持ちを表そうとし、このような動きが全国的見られました。こうした点によって、中国社会に大きな変化が現れたという評価が外部から生まれてくるのだと思います。

 私はこうした流れは、中国の社会自身、国民の権利意識の向上が背景にあると見ています。中間層が育ち、社会に貢献したいという一面が表に出てきました。中国社会、政府から庶民まで、やはり人の命が一番大事だと、人道主義が大事だということが全国民の共通の価値観となり、今回の対応につながったのではないかと思います。そのことが今回の地震対応で一番評価したい部分です。

 これは、中国にとっても良いことですし、海外から見ても、中国イメージを好転させた一因になったと思います。

 ■ 一緒になって救援活動をしたことに意義がある

記者 今回の大地震の救援における、日本の国際緊急援助隊の活動をどう評価しますか。

朱 日本の救援隊、医療チームが中国で献身的に救援と医療活動を行いました。生存者を救助することはできませんでしたが、犠牲者に対して黙祷をささげ、死者に対する尊敬の念を中国国民に伝えたことが、とても良かったと思います。また中国から見れば、はるばる日本からきた人が中国のなくなった人に敬意を表してくれたことが中国人の対日感情の好転に役立ったと思います。

記者 日本の緊急援助隊は、中国が受け入れた初の海外緊急援助隊でもありますが。

朱 四川大地震は胡錦涛主席の訪日直後に起きたもので、日本の緊急援助隊が最初に現地入りしたチームとなったことは、両国の国民感情の好転をねらった配慮の現われだと私は見ています。両国首脳、政府間の合意の上で、両国の戦略的互恵関係の構築の上で、国民感情の改善が大事だという認識があったからだと思います。

 今回の日本の医療チーム・救援チームの活動で良かったと思ったのは、中国と日本のチームが一緒になって救援活動をしていたことでした。今までは常に、「あなたを援助する」という一方的に受ける、提供するという話が多かったですが、今回は国境を越えて、大地震救援で支援しあうことが出来ました。

 また、「阪神大震災の時は、中国からも支援が来た。今回は私たちも全力で支援する」という気持ちで取り組んでいた人も多いと聞いています。

 今回、日本の報道でも、日本の救援隊が入ったことによって、救援活動は中国のことだけでなく、日本自身のことでもあるという報道姿勢に変わり、それによって日中両国の共同の努力が必要だという見方が広がったと思います。

 このことは、これからの日中関係にだけでなく、食品安全のことを含めて、地球規模、地域規模の問題の解決にも示唆を与え、国をまたいでの提携の重要性を教えてくれたのだと思います。

 ■義捐金募集でも中日が協力

記者 大地震が起きてから、朱さんの周りの動きは?

朱 私は日本の大学で教えていて、大地震の前後は日本にいました。日本の各界から義捐金が出され、地震大国として、支援物資を送ったり、色々なノウハウや技術を提供したりしたのをこの目で見ました。そのような中で、日本社会が中国に対して、同じアジア人、隣国であると、そう思う温かい気持ちが伝わったと思います。

 一方、在日の中国人、華僑も自分たちが生まれ育った祖国で起きたことに対して、今までの、ほかの自然災害に対する支援の倍以上の義捐金を出しました。例えば、私は中国の改革開放政策があったからこそ、海外に行き、日本にやってきて、勉強をして教授になれたと思っています。こういう時にこそ、みなが、自分の生まれ育った祖国のために、何かの形で、役に立ちたいと思うのです。

 神戸在住の中国人の教授たちは、すぐに市役所と協力して、神戸側がまとめた地震復興の資料を翻訳して、中国側に届けたり、ホームページを立ち上げるなどして、地道な努力を行いました。

  

(六本木ヒルズアリーナで日中共催のチャリティー・コンサート)

 私はその間、六本木ヒルズアリーナで日中共催のチャリティー・コンサートに参加しました。経団連の奥田碩前会長、電通の成田豊最高顧問、劇団四季の浅利慶太芸術総監督、女優のアグレス・チャンさんが呼びかけ人でした。このコンサートは、日本のメディアにも報道され、日中の協力によって、盛大に行うことができました。そこででも、日本と中国が一つの気持ちになったと肌で感じました。

記者 被災地の救援において、今後の計画は。

朱 私たち華人教授会議ですでに、ある程度のお金が集まっています。ただ、お金の支援だけでなく、それを超えた形で何か支援できないかと考えています。私たち学問をやっている者としてできること、各自が持つ人脈を生かせる何かできないかと思っています。

 北川は中国で唯一のチャン族の自治県です。小学校がたくさん倒壊しましたが、たとえば、チャン族の小学校を支援し、今回のことをきっかけに、現地へ定期的に行って教えるという長期的な支援ができないかと検討している最中です。

 地震は不幸なことでしたが、これをきっかけに交流が広がればいいと思います。

 このほかに、心のケアや、住宅の再建など、課題がたくさんあります。ただ、今の神戸は地震を乗り越えて、新しい神戸に復興しました。中国の被災地も今を乗り越えて、新しいブン川、新しい四川になってほしいと思います。私たちはその中で、支援やノウハウや人脈を提供するなどにより、日中の架け橋になれればと思っています。

 ■ 今後の両国関係の発展に示唆

記者 長い目で見ると、今回の四川大地震が今後の両国関係、とりわけ、国民同士の相手を見る目にどのような影響があると見ていますか。

朱 良い影響があると私は見ています。

 まずは、中国自身が今回の対応で、情報を公開して、的確に情報を発信したことの意義が大きいと思います。外部が被災状況の全般的な様子を把握し、素直に支援する気持ちになれたからと思います。もしこれが、情報が公開されていなければ、憶測や誤解なども免れなかったのではと思います。

 また日中が共に力をあわせ、一つの目標に向かって行動し、汗を流した良い前例を作ったことの意義が大きいと思います。今後、中国と日本は、アジアの大国として、一緒に責任をもって、アジア共通の環境や社会発展などの問題に立ち向かうことができる、と、そのような示唆を与えてくれたと思います。

 また、今回、中国政府の対応や、ボランティアたちの活動が、日本でも報道されました。今までの日本では、中国は経済が発展したが、国民や社会はどうなっているのかというところに疑問がありました。しかし、今回の対応を見ると、中国の人々はこれから、さらに自由で解放の社会に向かって努力していく、というイメージが日本に伝わったと思います。

 これから、両国が共通の立場で、地域や世界の問題に取り組んでいくための土台ができたのではと思っています。

 (聞き手・整理:王小燕 聞き取り協力:黄恂恂 写真協力:新華ネット)

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