2月25日、第85回米アカデミー賞が発表され、台湾出身の李安(アン・リー)監督が『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』で監督賞を受賞しました。李安(アン・リー)監督のアカデミー監督賞受賞は、2005年の『ブロークバック・マウンテン』に続いて2度目の快挙です。
(映画『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』)
受賞作品の『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』はイギリスのベストセラー小説『パイの物語』を映像化したもので、インドの少年パイが家族と一緒に船でカナダに渡る途中に遭難し、ベンガルトラやシマウマ、オランウータンなどの動物たちと227日間の漂流生活を送るというストーリーになっています。今回のアカデミー賞では11部門にノミネートされ、監督賞をはじめ、作曲賞、撮影賞、視覚効果賞の最多4部門を受賞しました。
(映画『ブロークバック・マウンテン』)
05年にアジア人初のアカデミー監督賞を受賞したアン・リー監督は、初の3Dに挑戦した『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』で、混戦といわれた今年のアカデミー賞で、2度目の監督賞受賞という快挙を成し遂げ、授賞式会場からも大きな拍手が沸き起こりました。
受賞スピーチでは、「映画の神様」に感謝し、会場の笑いを誘った一幕もあり、「この賞を分かち合いたいのは、ストーリーを信じて一緒に旅をしてくれた本作にかかわったすべてのスタッフ、キャスト3000人の皆です。主演のスラージ君は奇跡の俳優だ。君のおかげでこの映画を完成させることができた。そして台湾をはじめすべての国のスタッフたち、すべての方へありがとう。台湾なくしては、この映画は完成できなかった」と気持ちを伝え、結婚30周年を迎える妻に対して、壇上から「愛しているよ」と感情込めて語りかけていました。
李安(アン・リー)は1954年に台湾南部の屏東県に生まれ、台湾の国立芸術大学を卒業した後、1979年にアメリカへ渡り、イリノイ大学とニューヨーク大学で映画制作を学びました。在学中にスパイク・リーと知り合い、彼の映画の製作を手伝ったこともあるそうです。
(映画『推手』)
1991年、映画『推手』で監督デビュー、その後93年には『ウェディング・バンケット(原題:喜宴)』で95年には『いつか晴れた日に(原題:Sense and Sensibility)』でベルリン映画祭金熊賞を受賞。00年には『グリーン・デスティニー(原題:臥虎藏龍)』でアカデミー外国語映画賞を受賞し、ホームドラマや社会派・時代劇アクションなどさまざまなジャンルで優れた作品を数多く発表しています。彼の作品は中華圏ではもちろん、国際的にも受賞歴が多く、いずれも高い評価を受けています。
(映画『グリーン・デスティニー(原題:臥虎藏龍)』)
今回のアカデミー受賞作品『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』ですが、日本では今年1月に公開され、81回アカデミー外国語映画賞を受賞した「おくりびと」の本木雅弘が、大人になった主人公パイの声優として、初の実写洋画吹き替えに挑戦しました。(ミン・イヒョウ)
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