ジャン・ウェン(姜文)監督の話題作『譲子弾飛』は今月16日から全国ロードショーが始まりました。一言で言えば、「観客のアドレナリンを急上昇させる映画」(笑)と言ってもいいでしょう。今までの手法とは違い、複雑な要素と目まぐるしい映像を一切使わずに、観客を「痛快」の頂点まで連れていってしまいます。
では、年末の映画市場を大いに盛り上げてくれるこの作品の魅力に迫ります。
【見所① 3大男優の演技合戦】
国際映画シーンにも名を馳せているチョウ・ユンファ(周潤發)、グォ・ヨウ(葛優)、ジャン・ウェン(姜文)は、中華圏を代表する3大男優といっても過言ではありません。この3大男優を一つの作品に揃わせるのも中国映画史上初の快挙です。映画の中で3人は3つのタイプの男性役に挑戦しています。チョウ・ユンファは「ずるい男」、グォ・ヨウは「騙し上手な男」、ジャン・ウェンは「覇気満々な男」。こういった3人によって、男と男の乱戦が繰り広げられ、男らしさ満点の作品に仕上がっています。また、コメディアン出身のグォ・ヨウ演じる詐欺師は滑稽な一面もあり、笑わせる演技が多いため、映画では「殺し合いのスリルを程よくほぐしてくれる」という花を添える存在となっています。
【見所② フォン・シャオガン監督が友情出演】
もちろん、この作品に出演した脇役陣も注目されています。カリーナ・ラウ(劉嘉玲)、チェン・クン(陳坤)などおなじみの顔ぶれがそろったほか、ゲストとして演技を披露したフォン・シャオガン(馮小剛)にも関心が集まっているところです。以前から、ジャン・ウェン監督に俳優としての才能を絶賛されていたフォン監督、今回の作品では短い出番ですが、フォン・シャオガンならではの「ブラック・ユーモア」が光っていて、パロディーをベースにしたジャン監督の手法とぴったりマッチしています。
【見所③ 流行語になりそうな台詞】
「站着把銭掙了(突っ立ったままで一儲けした)」「譲子弾飛一会児(弾丸よ、しばらく飛べ)」など、かっこよくてギャグっぽい台詞はすぐさま全国的に流行りそうですね。流行文化に合わせているんじゃないかという疑問の声もありますが、それは、いつもパロディーの手法にこだわるジャン監督の見せ方とは関係なくもありません。理解しがたいという評価の前作『陽もまた昇る(原題:太陽照常昇起)』と比べ、確かに市場=観客の目を意識するようになったとか。台詞のほか、映像にもパロディーっぽい要素をいっぱい取り入れたようです。パロディーに興味をお持ちの方には、見逃せない作品です。
【見所④ 意味深のエンディング】
映画のエンディングには、グォ・ヨウ演じる詐欺師が山積みになった金に埋もれて息を引き取る一幕があります。それは、詐欺師が蔓延る今の時代を皮肉に表現したものでしょうか。今の時代の悪習といえる「拝金思想」という言葉が浮かび上がります。もちろん、人によって捉え方が違うかもしれません。パロディ-もありバイオレンスもあり、それに観客を考えさせる部分もある、とにかくジャン・ウェン監督ならではの「エンターテインメント」ではないかと思います。
【映画ファイル】
『譲子弾飛』(2010)
英語題:Let The Bullets Fly
公開日:2010年12月16日(中国大陸)
監督:ジャン・ウェン(姜文)
キャスト:チョウ・ユンファ(周潤發)、グォ・ヨウ(葛優)、ジャン・ウェン(姜文)、カリーナ・ラウ(劉嘉玲)、チェン・クン(陳坤)、ジョウ・ユン(周韵)ほか。
ストーリー:今から約100年前の北洋軍閥時代、盗賊と詐欺師、それに彼らに敵対する土地の有力者の間で仁義なき乱戦が繰り広げられます。こんな乱世を生き抜くのはいったい誰なのでしょうか?
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