新華社のウェブサイト「新華網」は、映画プロデューサー・張偉平氏のインタビュー記事を掲載し、以下のように伝えた。
2009年春節、ハワイで張芸謀とのスナップ。左が張偉平。
映画界でブランドとは何か。張芸謀監督作品は1つのブランドであり、張偉平プロデューサーによるマーケティングも映画マーケットで得難いブランドとなっている。張偉平がいなければ、張芸謀ブランドはここまで大きく成長することはなかっただろう。張芸謀がいなければ、張偉平は創造性に溢れた才能を別の分野で発揮しただろう。この2つのブランドは運よく巡り会いチームを組み、中国映画界をリードする存在となった。北京オリンピック後、2人は意外性に満ちた新機軸を打ち出した。新作となるスリラー・コメディ作品『三槍拍案惊奇(Amazing Tales - Three Guns)』には、旧暦の大晦日に中央電視台放送の「春節聯歓晩会」で一躍人気者になった小瀋陽を起用。6月10日にクランクインする予定だ。
張偉平のマーケティング戦略により、『英雄(HERO)』『十面埋伏(LOVERS)』『満城尽帯黄金甲(王妃の紋章)』は国内・海外マーケットで成功を収めた。この「2人の張」はスリラー・コメディ作品『三槍拍案惊奇』で国内・海外マーケットと観客の要求に応えるため、新タイプの作品作りを目指す姿勢を一層鮮明にしている。今回、張偉平はプロデューサーとして、張芸謀ブランドのマーケティングを国内・海外マーケットにより適した形で進めるために、どのような戦略を持っているのだろうか。この作品は張芸謀映画の大きな転換点となるかもしれない。
映画ブランドは革新追求が必要、スリラー・コメディ路線に転換
──北京オリンピックで張芸謀監督の国内・海外における影響力は一段と大きく高まったが、2人が再び映画製作に取り組むにあたり、大作指向を捨てスリラー・コメディ路線に転換した理由は何か。
我々がともに映画を作る際、常に革新し続けること追求すべき目標としている。革新とは古い手法を用いないことだ。コメディは張芸謀映画が得意とするジャンルではないが、コメディは観客を楽しませることができるので、試してみたかった。北京オリンピックでの成功は我々に革新を目指す原動力と魔力をもたらし、観客を第一に考えた映画作りが必要という思いをますます強めた。張芸謀映画というブランドを守るために、プロモーションといったマーケティングも絶えず革新しなければならない。
──革新の追求にはリスクが付き物であるが、あなたは思い切って張芸謀映画の新機軸を打ち出した。今後のリスクにどのように向き合うのか。
実際、形が整ったものは変わりにくく、張芸謀映画も同様だ。張芸謀が商業映画を作り始めたプロセスは、世界の映画界が方向性を模索する動きと重なっていた。『英雄』のプロモーションで、私は映画プロデューサーという役割に没頭していたが、我々のプロモーションのやり方は数十年間続けられてきたもので、すでに映画マーケットで全く効果を上げられなくなっていた。そこで、観客の映画に対する注目度を高めるため、一連の全く新しい作品のパッケージングとプロモーション方法を採用した。チャーター機で各地を巡るプロモーション、音響・映像著作権の競売、人民大会堂での世界プレミア上映などだ。こうした注目を集める活動を通じムードを盛り上げることで、観客の間で活発な議論が生まれ、競売を通じて20万元余りの音響・映像著作権の価格が1780万元まで上昇する結果となった。これは中国映画関連の競売で過去に例のない奇跡である。また、『英雄』は史上初めて興行収入2億5000万元という奇跡的な記録を達成し、中国映画として初めて中国本土マーケットで独壇場の地位にあったハリウッド映画に勝る成績を収めた。
──コメディは世界共通のものであるが、ある意味において各国のコメディには地域性がある。マーケティングの中でこうした地域性の問題をどのように解決していくのか。また、海外マーケットにおける今回の作品に対する反応をどのように予測しているのか。
今回の作品は様々な要素が盛り込まれたスリラータッチの時代劇コメディで、張芸謀映画にとって全く新しいスタイルだ。私と張芸謀は『有話好好説(キープ・クール)』で初めて一緒に仕事をし、その後『幸福之光(至福のとき)』を撮ったが、いずれも完全な商業映画路線で作ったコメディではなかった。『幸福之光』は文芸映画として製作されたが、今では当時の位置づけは間違っていたと感じている。もし商業映画として位置づけていたならば、趙本山は容易に本領を発揮できただろう。文芸映画だったので、心はやれど力及ばずという様子だった。今回我々が撮るコメディはコメディ・スリラー路線なので、小瀋陽は本領を発揮できるだろう。コメディは世界中で通用する十分発展したジャンルなので、よい作品に仕上がれば世界中どこでも通用できるだろう。『三槍拍案惊奇』のクランクイン後、中国国内と海外マーケットで本格的なプロモーションを行う予定である。この作品が興行的に好成績を収められると信じている。
──『三槍拍案惊奇』はマーケティング戦略上これまでの作品とどのような違いがあるのか。
マーケティング戦略上、海外でより大きなマーケットを持つ時代劇の形式を選択したほか、映画関連商品の開発に大きく力を入れていくことにしている。例えば、オンラインゲームをこれらの商品に加える。映画をモチーフにしたオンラインゲームは映画と連動した形あるいは映画から独立した形をとっており、中国の若者の新たな娯楽となっている。今のところ、中国においてこうした映画関連のオンラインゲームで特に成功した例はない。このため、映画関連のオンラインゲームの開発は慎重に進める計画で、世界一流の最も素晴らしい商品を開発し、映画と同様海外市場への投入を考えている。
「チャイナネット」 2009年5月22日
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