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音楽の中で物語を探す(後編)

2014-12-05 16:24:51     cri    


ナビゲーター 黄競

 音楽は心の中に流れるメロディーであり、最も素朴で美しい言葉でもあり、眠っている心の奥の記憶を呼び覚ますことができると言われています。今回の中国メロディーは引き続き、音楽の中に人を感動させる物語を探しましょう。

知音

 中国では、自分をよく理解してくれる人のことを知音と呼びます。これは春秋時代に、琴の名人伯牙が自分の弾く琴の音をよく理解していた友人の死後、これ以上の理解者はいないと、琴の弦を切ってしまったという話に由来します。

 1980年代に上映された映画「知音」は、辛亥革命の時代の、蔡鍔将軍と花魁の小鳳仙の伝奇的なラブストーリーを描きました。1911年、辛亥革命が起こった後、大統領に就任した袁世凱が時代に逆行して君主制を始めました。袁世凱の帝政に反対した蔡鍔将軍が小鳳仙らの助けで北京を脱出し雲南で武装蜂起し、共和制国家を守る護国戦争が起こったことが描かれています。

 「山は青々として水は清らかで、その味わいは尽きない。人生においてよき理解者を得ることは難しい。将軍は南の地で剣を抜き、私は風となって戦旗をなびかせたい。」これは映画の中で、ヒロインの小鳳仙が蔡鍔将軍に琴を弾きながら歌った挿入歌「知音」の一節です。小鳳仙の知音として将軍の愛国への思いを理解し、支持する気持ちが表現されています。この歌は、戦いとロマンスが互いを引き立て合うと称えられ、また、歌手のまるで泣いているようなもの悲しい歌声は、小鳳仙の蔡鍔将軍への真摯な愛情をまざまざと表しました。

知識青年の心の歌「小芳」

 1992年、「小芳」という歌が中国全土で大ヒットし、中国各地の流行曲ランキングでトップに立ちました。アルバムの販売数も、半年間で100万枚を突破しました。この歌は、文化大革命期の都会の若者「知識青年」たちの思いを表すと言われています。1960年代後半から70年代前半までの10年間、都市の青年の多くが政府の呼びかけに応じて、故郷を離れ、農村に定住し、生産労働に参加しました。「小芳」はこれらの青年が80年代に都市に戻った後、かつて農村にいた頃の暮らしや青春時代を懐かしむ気持ちを表した歌です。

 「村の小芳という名の娘よ。優しくて、美しい。大きな瞳、その艶やかなおさげ」という冒頭の歌詞で、主人公である青年は農村の娘「小芳」との甘い恋に思いをはせます。その素朴な歌詞と心のこもったメロディーは、人々の青春の思い出を呼び起こします。また、「君がくれた愛に感謝し、一生忘れない。君がくれた優しさに感謝し、私と一緒に過ごしてくれたあの時を忘れない」という素朴な歌詞は一見普通の言葉のようですが、心の底からの感動を誘う力を持っています。ある音楽評論家は「この歌は歴史のこだまであり、当時の青年の真摯な感情を表現した」と評価しました。この歌は社会に大きな影響を与え、1992年は「小芳年」とも呼ばれています。

キャンパスソングの名曲「同卓的你」

 1980年代以後、キャンパスソング(校園民謡)という音楽ジャンルが中国で一時期盛んになりました。これは学生の心境を描いた曲を指し、「同卓的你(隣の席の君)」などは代表的な歌として挙げられます。ギターで奏でる優しいメロディーと簡単な歌詞は多くの人々の青春の思い出を呼び起こしました。

 「アルバムをたまたまめくっていて、やっと君のことを思い出した。誰が感傷的な君と結婚したんだろう、誰がよく泣く君を慰めるんだろう、誰が君の長い髪を結うんだろう。」「同卓的你(隣の席の君)」という歌は作曲家・高暁松が学生時代の初恋の女性とアモイで出会い、ともに過ごすある日の朝、彼女の髪をとかしながら、突然インスピレーションを得て創作したものだと言います。

 当時(1980・90年代)、大学生は「天之驕子(天の寵児)」と呼ばれるエリートでした。大学のキャンパスは、学生たちが知識を学び、愛情の花を育くむ最も肥沃な土壌でした。「同卓的你(隣の席の君)」は、大学生が青春を謳歌したこの時期に生まれた多くのキャンパスソングの中の代表曲です。

 1990年代、この歌は高暁松の友人・歌手老狼が歌い、大ヒットしました。今でもこの歌は、90年代のエリート学生文化を表すシンボルとして伝えられています。

では、キャンパスソング「同卓的你(隣の席の君)」をお楽しみください。

番組の中でお送りした曲

1曲目~ 知音

この歌は映画「知音」の挿入歌で、ヒロイン・小鳳仙が蔡鍔将軍に琴を弾きながら歌ったものです。小鳳仙が知音として蔡鍔将軍の愛国への思いを理解し、支持する気持ちを表現しました。

歌詞

山は青々として水は清らかで

その味わいは尽きない

人生においてよき理解者を得ることは難しい

将軍は南の地で剣を抜き

私は風となって戦旗をなびかせたい

2曲目~ 小芳

この歌は、文化大革命期の都会の若者「知識青年」たちの思いを表すと言われています。

歌詞

村の小芳という名の娘よ

優しくて、美しい

大きな瞳、その艶やかなおさげ

君がくれた愛に感謝し

一生忘れない

君がくれた優しさに感謝し

私と一緒に過ごしてくれたあの時を忘れない

3曲目~ 同卓的你(隣の席の君)

歌詞

アルバムをたまたまめくっていて

やっと君のことを思い出した

誰が感傷的な君と結婚したんだろう

誰がよく泣く君を慰めるんだろう

誰が君の長い髪を結うんだろう

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