先月20日、四川省雅安市蘆山県でマグニチ7.0の地震が発生し、多数の死傷者と甚大な物的被害が出ました。被災地の一日も早い復興と、亡くなられた方のご冥福を心よりお祈り申し上げ ます。

　さて、今回の中国メロディーは四川省の音楽を特集し、地元の民謡と伝統文化をご紹介しましょう。番組の中でご紹介したのは「太陽出来喜洋洋（太陽が顔を出しみんなが喜ぶ）」、「霓裳羽衣の曲（げいしょう ういのきょく）」、「大河漲水浪沙洲（川の流れ）」、「熊猫咪咪(パンダちゃん)」の4曲でした。

　四 川省は中国西南部に位置し、周囲は秦嶺山脈・チベット高原・雲貴高原に囲まれる、中国の代表的な盆地です。四川省は昔から温暖で肥沃な米作地であることから「天府之国」と呼ばれる穀倉地帯です。三国時代には劉備によりこの地に蜀漢が建てられ、魏、呉と天下を争いました。これは史書『三国志』で知られています。

　1曲目　太陽出来喜洋洋　（太陽が顔を出しみんなが喜ぶ）

　四川民謡は非常に種類が多く、多くの民謡が地元の独特な自然環境と密接な関係を持っています。ある歌手は四川省の代表的民謡「太陽出来喜洋洋（太陽が顔を出しみんなが喜ぶ）」を歌った際、「最初はなぜ太陽が出て喜ぶのか分らなかったのですが、ここに来て、ようやく実感としてわかった気がします」と話しました。

　四川省は、盆地特有の気候の影響を受け、１年中湿潤で雨量が多い気候です。曇天が多くて晴れの日が少ないため、ここに住む人々は久しぶりに太陽が顔を出すと、とても喜びます。この「太陽が顔を出しみんなが喜ぶ」という民謡はこんな独特な自然環境から生み出されたものなのです。

　2曲目 霓裳羽衣曲（霓裳羽衣の曲）

　先ほどご紹介したように四川省の気候(きこう)は温暖湿潤(おんだんしつじゅん)で雨量が多く、日光量が少ないため、地元の女の子は、色白でポッチャリした可愛い子が多いようです。古代中国の四大美人のひとりと言われる「楊貴妃」も四川省出身です。歴史書や壁画等の類推から、楊貴妃は容貌が美しく、唐の時代の理想とされた豊満な姿態を持ちます。また、音楽・楽曲、歌舞に優れて利発であったため、当時の玄宗皇帝一番のお気に入りの寵姫となりました。しかし、玄宗皇帝が寵愛しすぎたために安史の乱を引き起こしたといわれ、この四川美人は傾国の美女とも呼ばれます。後世、楊貴妃と玄宗皇帝との悲恋が多くの小説、漢詩、雑劇、戯曲の題材として取り上げられました。

　この「霓裳羽衣の曲（げいしょう ういのきょく）」は玄宗皇帝が楊貴妃のために作ったとされるもので、楊貴妃もこれに合わせて、舞うのを得意としたということです。曲は玄宗皇帝が夢のなかで天上の月宮に遊び、仙女の舞のときに聴いた調べをもとに作ったものだと伝えられています。

　３曲目　　大河漲水浪沙洲

　四つの川と書く四川の名前は、四川省を南北に流れて長江に注ぐ岷江、沱（トウ）江、涪（フウ）江、大渡河という四つの川に由来する、と言われています。また、四川省内にあるユネスコの世界遺産に登録された九寨溝や黄龍などの景勝地も澄みきった神秘的な湖沼と無数の瀑布で知られています。こうした豊かな水資源に恵まれた環境を背景に、四川民謡の中には、川に関わる民謡が非常に多いです。例えば、「大河漲水浪沙洲（川の流れ）」という民謡は失恋した女性が流れる川に大声で叫び、失恋の悲しみや苦しみを打ち明ける情景を描きました。叫ぶような歌い出しの部分は、四川女性の大胆で気迫ある性格をうまく表現しています。

　4曲目　熊猫咪咪(パンダちゃん)

皆さんご存知のようにパンダはでっぷりとした愛嬌ある姿で世界中の子どもたちに愛されています。この、野生パンダの30％以上が四川省に生息しています。20日に地震が起きた四川省雅安はジャイアントパンダの故郷と呼ばれるところで、これまでのところパンダの死傷 報告はありませんが、多くの人々は心から可愛いいパンダの平安を祈っています。

　この「熊猫咪咪(パンダちゃん)」は当時、15歳の歌手、程琳さんが唄ったものです。この歌は「竹の花が咲いた。パンダちゃんがお母さんに抱かれて、星を数えているよ。パンダちゃん、明日の朝ごはんを心配しないでね。私たちが用意してあげるから。自分を支えるように、あなたを支えるよ。自分を大事にするようにあなたを大事にするからね。私たちは同じ空気を吸っているから。この世は美しくなっていくよ」と、歌っています。

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