北京から南へ飛行機で1時間半。江蘇省の省都・南京は歴史のある古い町です。北京、西安、洛陽とともに中国四大古都の一つに数えられ、明の時代まで10の王朝がここに都を構えました。そして、中華民国臨時政府の首都もここ南京でした。その町に、中国でも由緒ある博物館、南京博物院があります。今日は、ここを訪ねてみましょう。
その前に、南京のことを少し詳しく紹介します。明代に南京には城壁が作られ、今なお中心部に面影を留めています。日本などの協力で、修復作業も進んでいます。これに囲まれた地域が旧市街で、南京駅前に広がる玄武湖公園は市民のオアシスです。しかし、経済の発展とともに地下鉄も開通、空港は中心部から車で50分もかかるなど、市域は広がる一方です。
市民ばかりでなく全国からの来訪者が絶えないのが、市の東側にある中国革命の父、孫文のお墓・中山陵です。孫文は今年、生誕150周年で、さまざまな催しが行われました。孫文は、中国では孫中山の名で親しまれ、中山陵はお墓というより、紫金山という山の中腹にある大きな公園の感じです。
この中山陵に向かう途中にあるのが、南京博物院です。1933年に国立中国博物院として建てられました。人文系、自然科学そして工芸という三つの展示館を備えたものでしたが、日中戦争での破壊などもあり、いまの形を整え、名前も変ったのは1959年になってからです。
約40万点の収蔵品があるといわれています。新石器時代の玉串の飾り物、紀元25ー220年の東漢の時代のものと思われる青銅製で牛の形をしたランプなど、国宝級のものが見られます。長江沿いの歴史と考古学研究に力を入れているのも南京博物院の特徴です。常設の展示とは別に、年に20回ほどの特別展も行われます。来年の1月8日までは、明代のイス、テーブル、たんすなどの家具展が開かれています。
南京には、このほか、太平天国歴史博物館があります。11年間、太平天国の都があっただけのことはあります。
そして、日本人にとって避けられないのは、南京大虐殺にからむ記念館です。犠牲者の数をめぐって、虐殺はあったか、なかったかと議論をおし返す人たちもいますが、やはり目をそむけることはできないでしょう。こちらは、07年の7月まで改修工事中です。館の名前は、侵華日軍南京大屠殺遇難同胞記念館といいます。
住所:南京市中山陵9号
電話:025ー84431600
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