今日は12月31日、中国ではなんでもない日ですが、日本では大晦日ですね。日本では1月1日からお正月を迎えますから、今日あたりは、ほとんどの人がお休みをとって、新年を前にのんびり過ごしていると思います。
中国の新年と言いますと、日本と違って、旧暦で迎えます。来年の2月9日が、大晦日、除夜です。そして、10日が春節、旧正月となります。今日は、日本の大晦日に合わせて、中国の大晦日の話をしたいと思います。
私が小さいころ、大晦日の日に一番楽しみだったのは、新年のための新しい洋服を着ることです。それから、もう一つ、大晦日にやることは、春聯を貼ることです。
中国人の家庭は大晦日に必ず玄関などに赤い色の対聯を貼ります。大きな赤い長い紙に、縁起のいい言葉を書いたもの対になっています。一年立って、少し色あせても、墨の色は落ちないことがあります。それでも大晦日の日に、また新しいものに取り代えて、新しい一年の間、鑑賞する風情あるものです。これは、古典中国の面影の一つと言えましょうか。
春聯の起源と言いますと、今から2500年前の周の時代に遡ります。門の両側に掛けた長方形の桃の木の札です。桃に符合の符と書いて、桃符と呼ばれるものです。中国の民間では、桃の木は、魔よけの効果があると言われてます。その札には鬼を払う神様の名前が書かれます。すると、鬼が家に入ることができません。後には、桃符に対句を書くようになりました。宋の時代には、まだ桃符と呼ばれています。その証拠として、宋の時代の有名な政治家であり、大文豪でもある王安石の詩、『元日』をご紹介します。
爆竹声中一歳除
春風送暖入屠蘇
千門万戸瞳瞳日
総把新桃換旧符
爆竹の声の中一歳除き
春風暖を送って屠蘇に入る
千門万戸瞳瞳たる日
総て新桃を把って旧符に換う
屠蘇とは、屠蘇酒のことです。お酒の一種です。昔は病気を防ぐために元旦に飲んだ酒です。瞳瞳たる日とは、夜が明けて、だんだんと明るくなる朝のことです。現代語に訳しますと、爆竹の音がパパン鳴っているうちに、新しい年を迎えた。春風が屠蘇酒の中に暖かさを運んできた。初日がすべての家々に差し込むころ、どの家でも古いお札を、新しいお札に貼りかえている。
さて、昔は、桃の木で作った桃符ですが、:宋の時代から紙に書かれるようになり、春聯と呼ばれるようになりました。内容ももちろん、魔よけの神様の名前ではなく、縁起のいい言葉となっています。ちなみに、その魔よけの役目は、門に貼る門神、つまり、門番の役目をする神様が担うようになりました。
今、都市部では春聯はまだよく民家で見かけますけど、門神の絵があまり見なくなりました。でも、仏教寺院などではまだ見られます。それも春聯と同じように、桃符から転じたものです。
春聯とは、春節を祝うために張り出された対聯、つまり、対句のことです。つまり、対聯は一つの大きなジャンルで、春聯は春節に張り出されたものだから、春聯と呼ばれる訳です。そのほかにはどんなものがあります。例えば、長寿を祝うために用いる対聯は、寿に聯、寿聯と言います。亡くなった人を偲ぶために書かれたものは、挽回の挽に聯、挽聯と言います。そのほかにも、名勝聯や業界聯、感想聯など、色々あります。
対句は一定のルール、つまり、韻を踏む二つの語句、或いは文です。漢詩の入門とも呼ばれます。昔の中国のインテリは、漢詩や文章を書く前に、まず、対聯を埋めることから練習します。
対聯は左右両側と上に貼るものです。両側は縦に割りと長いものを張ります。上には普通は四つの字となるものです。右側に貼るのは、「上聯」、左に張るのは、「下聯」。そして、上に貼るのは「横批」と言います。「横批」は対句の意味をまとめたり、他の意味に転じたりする短いものですので、分かりやすいです。でも、同じ長さの紙に書かれた、上聯と下聯、内容的にはどう判断するでしょうか?
例を挙げて説明しましょう。「又是一年春草緑 依然十里杏花紅」。その意味を訳しますと、上聯は、また一年の春になって、草が緑によみがえった。下聯は、周りの景色は依然として変わらず赤い杏の花が咲き乱れている。内容的に判断するのはもちろんですが、もう一つ中国語を始めたばかりの外国人にとっても、簡単の方法を教えましょう。
対聯、日本語で対句と言いますが、まずは、韻文、つまり、韻を踏む語句です。造るときに、守らなければならない音調上のルールがあります。日本の俳句なら、五七五という要求があるのと同じように、中国の韻文は、字数と意味を合わせるだけでなく、発音、つまり韻律のほうも厳しい要求があります。
古代の中国語は、現代の標準語と発音が一部違うものもありますが、大まかに分けますと、平仄(ひょうそく)というちょっとややこしい規則があります。四声で当てれば、第一声と第二声、つまり、マ①とマ②が平声(ひょうしょう、へいせい)に当たります。そして、第三声と第四声、つまり、マ③とマ④が仄声(そくしょう、そくせい)に当たります。つまり、対聯の最後の字を見ると、第三声や第四声で終わるのが、上聯。第一声や第二声で終わるのが、下聯になります。
先ほどの例で言いますと、春草緑、緑、lv(4)ですね。上聯です。そして、杏花紅、Hong(2)ですので、下聯です。ただし、現代標準語には、古語にあった入声(にっしょう)がないので、発音が合わないケースもあります。
もう一つ例を挙げます。「風声雨声読書声声声入耳 家事国事天下事事事関心」 風の音、雨の音、そして読書の声、すべて耳に入る;家の事、国の事、そして、天下の事、何でも関心を寄せている。上聯は耳、Er第三声で終わります。下聯は心、Xin第一声で終わりますね。上は仄声、下は平声です。
続いて、対聯を練習しましょう。
山↔河
春花↔秋月
水中月↔鏡中花
東西南北↔春夏秋冬
「古典エナジー」大晦日スペシャル!中国の対聯~最後に、めでたい春聯で新年を迎えましょう。上聯は、春夏秋冬季季呈祥。 春夏秋冬、どの季節もめでたし。下聯は、四面八方処処得福。 四面八方、どこでも福に恵まれる。横批は、万福呈祥!
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