さて、その宣武門のあった南の地域は、宣南と呼ばれ、古くから文化人や学者、そして京劇の俳優が住み、また商業の中心としても栄えました。故宮の一帯が皇帝やお役人の世界だったとすれば、宣南は庶民文化が花開いたところでもあったのです。
その歴史が一目で分かるところが、北京宣南文化博物館です。もともとは、長椿寺というお寺でした。
お寺は長続きせず、清代の中期にはさびれ、その後は民間人の住まいとして使われてきました。しかし、宣武区政府が文化財保護に乗り出し、2002年から2億元をかけて改修し、2006年に博物館としてよみがえらせたのです。
博物館は8つの展示室からなっています。宣南に居を定めた清代の学者66人を紹介するコーナーでは、一人一人の業績が詳しく紹介されています。毛沢東主席の国語の教師役で、いまのピンインを考え出した黎錦熙さんも、この宣南の住人でした。
庶民の暮らしぶりも分かります。レストラン、デパートもこの宣南で生まれました。今に残る。老舗の漬物店「六必居」やお茶の「張一元」、漢方の「同仁堂」の看板も見ることができます。
瓦を割ったり、頭で石を突いたりした大道芸人の姿も楽しめます。旅行ガイドブックには見つけられない小さな博物館ですが、解放前の北京を知るにはうってつけの場所と言えそうです。
場所:北京市宣武区長椿街9号
電話:(010)83167249
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