順義区は北京市北東部に位置し、北京の中心部から30キロのところとにあります。順義は長い歴史を持ち、春秋戦国時代には、燕国に属し、漢の時代には、漁陽郡の管轄下に置かれ、明の初期、順義県と改編されました。新中国成立後、1998年北京市管轄区に昇格し現在に至っています。面積は1021平方キロあります。
ここに、中国最大の首都国際空港が建設されました。ここ数年、植林などの環境整備が進められ、緑に覆われた美しい風景が広がるグリーン空港圏が形成されました。このグリーン空港圏に漢族のほか、少数民族のホイ族やマン族、朝鮮族といった人々が暮らしています。
このほど、ここに住むホイ族の若者・馬連営さんが結婚しました。結婚式で、新婚夫婦はホイ族の慣わしによって、イスラムの聖職者アホンに、イスラム教徒が結婚後に守るべき条項を書いてもらいました。この条項は次のように書いています。「2人はこれから正式に夫婦になる。これは一生守るべきことだ。ホイ族は誠実と信用を非常に重視する。夫婦ともに信用を守り、互いに支えあって今後の生活を送るべきだ」
ホイ族の結婚式では、必ずアホンにこのような条項を書いてもらわなければなりません。これは結婚証明書と同様に重要だということです。
また、馬占月さんの一家は先祖代々順義に暮らして来ました。一家は毎週礼拝をし、民族の信仰を守っています。
ゴルバン祭はホイ族で最も大きいお祭りです。馬さんの話では、ゴルバン祭の初日、礼拝を行った後、羊や牛をほふります。そして、肉の一部を親戚や友人に送ります。また、ゴルバン祭のほか、ラマダン(年に1回の断食月)も行います。ラマダン期間中、毎日、日が出る前に飲食を済ませ、日中どんなに空腹になっても、日が落ちるまで食事をしてはなりません。昼間にもし飲食をすれば、教えに反することになるからです。女の子は9歳から、男の子は12歳からラマダンを行うようになるということです。
ホイ族は儀礼を大事にする民族です。それには通過儀礼と年中行事の二つの部分に分けられています。通過儀礼は誕生から死に至る人の一生をいくつかの重要な段階に分けます。主に、誕生、命名式、結婚式などです。これには初対面や、客をもてなすなどが含まれています。
赤ちゃんは生まれて4日目に、アホンにイスラム教の名前をつけてもらい、一ヶ月が経つと、アホンにお経を唱えてもらいます。命名式の日、一般の家庭では、羊をほふったり、「油香」や「花花」、「撒子」などの菓子をつくったりして、近所や親戚らに送り、一緒に楽しく祝います。命名式が終わった後、棗や、氷砂糖などを入れた甘いお湯を赤ちゃんに少し飲ませます。これで、赤ちゃんは口を開き、話せるようになるということです。
順義に生活しているホイ族には民族独自の風習が継がれてきました。これには政府による配慮が欠かせません。
住民の馬占月さんは、「ホイ族村に住んでいたとき、小バイラム祭になると、政府から小麦粉や食用油がもらえました。自由な暮らしを送ることが出来、やりたいことがやれます。強制されることはありません」と話しました。
馬占月さんと同じように、1700人のホイ族の住民は順義区の後沙峪鎮ホイ族営村の村民でした。現在、新しく建てられたビルに移転しています。清嵐花園住宅区に暮らす金璜さんもその中の一人です。彼女は後沙峪鎮役所に勤め、知人には多くの漢族の人がいます。
金さんは「役所には漢族出身の人が多いのですが、仲良く付き合っています。彼らは私の飲食の習慣に配慮し、一緒に外食するとき、必ず、イスラム料理店へ行く」と教えてくれました。(トウエンカ)
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