北京の伝統芸能に京劇があります。きらびやかな衣装、ドラも加わった音楽。言葉が分からなくても、十分に楽しむことができます。北京の劇場で観覧可能ですが、短い日程で北京ツアーにやってきた人は、切符の入手や問い合わせが面倒なため、尻込みする人も多いようです。
そんな人にうってつけの場所、北京戯曲博物館を紹介します。京劇を毎日上演している常設劇場ともいえます。宣武門のあった南の地区、つまり宣南地区が庶民文化の発祥の地、と紹介したことがあります。京劇は清の時代に始まったもので、最盛期の北京には20を超える劇場があり、そのほとんどが宣南地区に集中していました。
その宣南には、全国各地から文化人や商人が集まってきました。そして、宿泊したり情報交換のための場所、日本流にいえば県人会の寮のような施設が次々と建てられました。
そのひとつに湖広会館というのがありました。1807年に建てられたもので、湖北省と湖南省出身者が寄り添う場所になりました。新中国の成立後は一般の住宅や事務所として使われてきましたが、10年ほど前、改修を加え、北京戯曲博物館として衣替えしたのです。
そして、大晦日を除いて、ほとんど毎晩、ここで京劇が上演されるようになりました。一般の劇場に比べれば、それほど広くありませんが、雰囲気は十分味わえます。展示室が設けられ、年に数回、珍しい楽器にお目にかかれ、取材で訪れた日は、古琴や古笛が展示されていました。日本人旅行者のためには、日本語のガイドホンが用意されています。
ここの楽しみはもうひとつあります。レストランが併設されているのですが、私家菜、いわば家庭料理です。京劇は夜7時ごろから始まるので、少し早めに出かけ、腹ごしらえするのがいいでしょう。
住所:北京戯曲博物館 宣武区虎坊橋3号
電話(レストラン):63553112
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