中国の北方は小麦粉の一大産地で、豊富に刈りとられた小麦が「麺人(『麺塑』とも言う)」の原料になっています。「麺人」は、旧正月や中秋節、結婚式といったお祝い事などで、庶民の生活にずっと寄り添ってきました。平凡な村で農家の女性たちの手で作られてきて、飲食と芸術の接点となってきたのです。
やわらかくこねた小麦粉の団子は、便利で安い材料になります。大人だけでなく、子供たちも、思い思いに団子をこねて人形を作ることができます。民間の芸術家たちは、長い試行錯誤を経て、乾燥した状態を保ちつつ、カビたり変形したりせず、虫食いもしない顔料の配合に成功しました。製作技術のレベルが上がるにつれて、「麺人」は観賞用の芸術品として発展し、いろいろな人物をモデルに作られるようになりました。様々に色づけされた団子は芸術家たちの手で魔法のように変化し、非常に精密な人形に仕上がっていったのです。
「麺人」の主な材料は、強力粉や、もち米粉、防腐剤、亀裂防止の蜂蜜などです。職人たちは、それらを混ぜて蒸し、色素を加えてから、形を作り上げます。技術の進歩で、現在では数十年から100年間は保存できるということです。
その主な手法は、捏ねる、つまみ上げる、掻く、抑える、転がす、揉むなどがあります。泥人形との大きな違いは、泥人形は造形後に着色するのに対し、「麺人」は事前に小麦粉に染色し、それを組み合わせていくことです。
昔、みんなに好まれるモチーフは伝説、戯曲、歴史人物などですが、近年は、「ドラえもん」、「名探偵コナン」など漫画やアニメの主人公に似せたものもあり、とくに子供たちの人気を呼んでいます。
「麺人」は、世界の「いま」を教えてくれると同時に、中国の伝統文化も語っていくことでしょう。
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